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ペロポネソス戦争、その六(簡略ギ歴) [英語学習]

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* 内容の紹介
協定が締結された。だが問題がみえてきた。スパルタとアテネ、それぞれとその同盟国、あらたな同盟の成立、これらさまざまな問題をあつかう。
(Ancient Greek History - Part 6 of the Peloponnesian War - 22、Historyden)

* はじめに、ニキアスとプライスタイアニクスの交渉
前回、二人の主戦論者が死亡した。これが真剣な和平交渉への道をひらいた。アテネからニキアス、スパルタからプライスタイアニクスが登場。ちなみにプライスタイアニクスは第一次ペロポネソス戦争でペリクリースと和平協定を調印した。彼はペリクリースと友人だった。しかしスパルタにもどった時にスパルタ人は協定に激怒。アテネに有利なものだと非難した。彼は追放された。ほぼ二十年にわたる。しかし彼は復帰しもう一つの協定の交渉に登場、締結にいたった。それが紀元前四二一年だった。これは紀元前四二一年から四一四年までつづいたとされれる。問題がすぐにでた。紀元前四一八年には協定は崩壊の危機におちた。これらの問題と協定の条項についてである。

* 複雑な協定内容
この協定は複雑である。裏切り、二重取引、あたらしい同盟、同盟の破棄などの問題がこの協定期間、特にその前の期間に発生した。おおくのことが背後におきた。

* 停戦にいたる両者の事情
まずはじめにスパルタとアテネはほんとうにこの戦争をやめたいとおもってた。それには充分な理由があった。

* たえられない国力の消耗
まず両者は戦争に疲れはてた。アテネとスパルタにおおくの負担と犠牲をしいた。アテネはほぼ六千タレントをつかった。戦争がはじまった時にあった資金額である。これは充分な理由である。戦争は紀元前四三一年から十年つづいた。また二人の主戦論者がしてたちおと死亡。障害がなくなった。ツキジデスはプライスタイアニクスとニキアスは几帳面な性格で平和をのぞむ勢力を代表してたという。

* 平和勢力と戦争勢力の対抗
一般に都市国家において平和をのぞみ、あるいは戦争をもとめる勢力がいる。彼らこの平和勢力を代表する。さらにつけくわえること。ペロポネソス同盟が極めて不安定になった。特にマンテニイ、エリスは同盟をはなれ独立して行動しだした。スパルタにとって重大な脅威である。内側に争いがあり、それと同時にアテネとたたかう。対応できない。アテネにもかってのような主導権をふるう余裕がなくなった。ビオーシャンズ、メガラ、アンフィポリスでかっての支配力をうしなった。これはアテネの厭戦気分をたかめた。スパルタにも重大な問題があった。

* スパルタ、顕在化するアゴアスとの確執
アゴアスとのあいだの長年の紛争である。各世紀ごとにいつも争いがあった。常に不穏な状態がつづく。典型的な国境紛争をかかえてた。紀元前四五一年に三十年間の平和協定を締結した。これはペロポネソス戦争とは無関係。しかしこれが紀元前四二一年に失効。もしかするとアゴアスと戦争にはいり、かつアテネと和平交渉にはいろうとする。ぜひともさけたい事態である。この協定をたんに延長したいとねがってた。事実、協定は三十年間継続してた。これはおおくの場合、短期間で破棄される。おどろくべきことだった。これと同時にアテネとの協定の締結ものぞんだ。これもスパルタをつよくうごかした。

* アゴアスの強硬姿勢、スパルタの弱味
スパルタは三十年の延長をもとめた。最初、アゴアスは拒絶した。それは交渉を有利にするかけひきともいえたがスパルタが不安をたかめる事情があった。地図で確認するとわかるが、アゴアス、他に離脱の動きをみせるエリス、マンテニイが不安定化する。するとペロポネソス同盟が半分になる。もともとスパルタにとって同盟は防御の目的である。そのために同盟国を巧妙に支配する。同盟国がアテネのような外敵にたいする緩衝地帯の役割をはたす。このための同盟である。これがなくなることを意味する。さらに付随することだがアゴアスが民主主義。スパルタは対照的に貴族政治。マンテニイとエリスは穏健な民主主義。スパルタは民主主義の拡大におそれをもってた。

* 協定の各条項、スパルタとアテネの利害調整
ニキアスの協定の条項をみる。最初はスパルタがもってたアテネの捕虜を返還することである。これは実行された。さらにうばった都市の返還。アテネはアンフィポリスの返還をもとめた。返還をみとめた。アテネに二百九十二人のスパルタの捕虜の返還をもとめた。これは紀元前四二五年、スファテリアの戦いのもの。その代償にナサヤ、メガラの港湾都市を返還する。これはメガラを激怒させた。

さらにスパルタがアテネ帝国を全体として承認することである。これは北部でおきてる反乱をアテネが自由に鎮圧できることをみとめること。最後にパイロスとキセラがスパルタに返還。これはスパルタにとり重要な港湾都市であるがアテネにうばれてた。このようにこの協定はスパルタとアテネの問題を整理、整頓したものといえる。しかしそこに関係する都市に蓄積している怨みまですべて整理、整頓したものではない。協定がふれてない問題が紛争の種になる。

* 同盟国、協定承認の拒否
では協定締結後におきた問題である。スパルタにかんしてはおおくの有力同盟国が協定の承認を拒否したことである。これは当然むすかしい問題を引きおこす。

* 情勢安定をのぞまないシーブスの思惑
ビオーシャンズである。彼らは協定を基本的に無視した。そしてアテネ人捕虜引き渡しを拒否した。しかし要塞の引き渡しはみとめた。だが実施の段階でそれを破壊した。これは両者の感情につよいしこりをのこした。これには理由があった。シーブスだが彼らはこの戦争をたのしんでた数すくない都市であった。シーブスはもともと地域の有力都市。この戦争を利用してビオーシャンズの支配を強化してた。争いをとおしてスパルタとアテネが消耗してゆく。シーブスには好都合。この戦争をおわらせる切実な必要がない。

* メガラ、コリンスの不満
メガラである。アテネにナサヤ返還がみとめられた。これに激怒した。彼らにとり重要な港であった。コリンスも不満をしめした。ポチディアがアテネに返還された。これはペロポネソス戦争の原因といえる都市だが、コリンスと関係はふかかった。スパルタとアテネが自分たちの都市を回復したのにコリンスは都市をうしなった。エリスも拒否した。スパルタのあいだに国境の都市で紛争がある。

* アンフィポリスの引き渡しの齟齬
さてスパルタとアテネのおおきな問題はアンフィポリスである。アテネへの返還がみとめられた。これが実行の段階で問題となった。この意味はアンフィポリスがアテネに忠誠をちかう。もしアテネ帝国への復帰を拒否したらスパルタが強制し実現させるという意味である。現実にはスパルタはそうしなかった。スパルタの指揮官には返還をし指示した。しかしアンフィポリスは協定を拒否した。指揮官はそれを強制することなくペロポネソス同盟の人間とともにアンフィポリスをさった。これが現実であった。アテネが想定してた事態とちがう。この食い違いも紛争の種としてのこった。アテネはアンフィポリスの適切な返還が実現してないとパイロスとキセラの引き渡しを拒否した。

* アテネとスパルタの防衛協定にひそむ危険
アテネとスパルタのもっとも深刻な問題は防衛の協定事項であろう。これはこの協定にはふくまれてない。これは五十年間の防衛協定をさす。疑いもなくこれはコリンスや他のペロポネソスの同盟国をねらいにしてる。もしコリンスがアテネを攻撃したら、この協定によりスパルタはアテネを援護する義務がある。アテネにもおなじように義務がうまれる。これをすべての同盟国、すべての地域に拡大する。極めて複雑で困難な問題となる。

* あたらしい同盟の構築、アゴアスの動き
あらたな同盟がうまれそうである。さらに混乱がうまれる。この協定の結果、アテネはスキオニを回復できた。これはブラスディスが干渉し和平がこわれる原因となったものである。アテネはクリオンのきびしい法律をスキオニの反乱に適用することにした。すべての反乱行動をおこした男たちを死刑にし他を奴隷におとした。アテネはまだアンフィポリスを自力で回復するほどの力はない。ひきつづきスパルタとのあいだの争点としてのこった。協定締結後、すこし後の紀元前四二一年、コリンスがアゴアスに代表団をおくった。そしてあたらし同盟の形成にむけて議論をはじめた。その時、同時にアゴアスに他のペロポネソスの同盟国をさそうようもとめた。アゴアスがあたらしい同盟を推進することとなった。紀元前四二一年と四二〇年にかけてのこと、マンテニイがすぐ加盟した。エリスもおくれて加盟した。

* スパルタの戦争再開を画策するコリンス
コリンスはこの同盟を反スパルタ同盟とする目的で画策したのでない。同盟をつくる。スパルタがニキアスの協定をやぶる。そこでアテネに攻撃する。その時にそなえる。あるいはこの同盟によりアゴアスがアテネを攻撃する。この時スパルタが援助し、あるいはしない。どちらでもよい。コリンスは戦争の継続をねがってた。

アゴアスのあたらしい同盟のことである。コリンスとアゴアスはちがった将来計画でうごいてた。アゴアスはスパルタ攻撃をねらってた。しかしコリンスのねらいはスパルタがふたたびアテネと戦争にはいることだった。コリンスはペロポネソスの同盟国が離脱するよううごいたが、それがすべてスパルタが戦争にもどる。それがねらいだった。コリンスが期待してるのは彼らが同盟を離脱しようとしてるとスパルタがしんじる。またはスパルタがほかの同盟国がつぎつぎと反旗をひるがえすところを目撃する。そしてスパルタが追いつめられて、ふたたび戦争に突入することである。

* 新同盟推進に苦闘するアゴアス
あたらしい同盟が機能するためにアゴアスはメガラとビオーシャンズが加盟してくれることをねがった。しかしそれはおきなかった。タジア、メガラ、ビオーシャンズが加盟を拒否した時、スパルタはすこしその地位をかためた。何故、コリンスがアテネとの戦争再開に固執したのか。それはコリンスがペロポネソス戦争からもっともおおきな被害をうけたからである。海軍はアテネにより無力化された。おおくの都市がアテネによりうばわれた。そのためコリンスは典型的なギリシャ人の憎悪、アテネのやることなすことすべてを憎悪することとなった。そのため平和協定が彼らに利益となり国の再建に役だつとしても協定の破棄
に取りくむ。もし彼らが凋落にむかうとしても、それをアテネとともにすることをねがう。

* コリンスの攪乱、アテネの反発
さてシーブスには面白いところがある。彼らはアテネと平和協定をむすんだ。それは十日間の戦闘停止であった。これで両者のきびしい関係がわかる。さらにおどろくべきことだがコリンスがシーブスにアテネとのあいだに、おなじような十日間の和平協定をむすべるよう助力をもとめた。これはすこしへんである。コリンスはペロポネソス同盟の一員。これはまたスパルタをゆさぶり戦争に突入する。こんな意味だろう。アテネはこれを拒否した。コリンスとアテネのあいだにはすでに協定がある。これはコリンスのずるい不正行為である。アテネはかってやったようにこれにも軽蔑の反応をしめした。軽蔑は古代において特にギリシャにおいて極めて危険な行為である。もしこれをやるとやられたほうは百年間うらみつづける。

* スパルタ、新同盟への反撃
スパルタはアゴアスがあたらしい同盟をつくろうとしてることをだまってみてなかった。断固とした攻撃にでた。北方でマンテニイの部隊をやぶった。エリスの都市に守備隊を設置した。

* 戦争再開への動き
紀元前四二一年にはアテネとスパルタの平和勢力が力をふるった。しかし紀元前四二〇年には戦争勢力が力を盛りかえした。スパルタには二つの動きがあった。捕虜の返還があったので戦争の再開である。最初はパイロスへの攻撃であり次はアゴアスである。このことはクリオンが議会に警告してた。もし捕虜を返還するならスパルタにはもはや平和協定を維持する意欲はなくなる。しかしすでにクリオンはいない。協定で捕虜返還をみとめる。反対意見はつよくなかった。

* 追いつめられるアゴアス
すでにのべたようにいくつかのペロポネソスの同盟国がアゴアスの同盟への加盟を拒否したといった。それにはスパルタをおこらせたくないとの思惑があった。このことはアゴアスを非常によわい立場に追いこんだ。彼らはスパルタとアテネが共同して攻撃する事態を想定しなければならない。

* スパルタ、ビオーシャンズとの同盟、あらたな動き
アゴアスはスパルタかアテネのどちらかとの同盟関係が必須となった。このことは次回にのべる。もう一つスパルタがビオーシャンズと同盟関係にはいった。このことがアテネを激怒させることとなった。これはニキアスの対抗者、あたらしい指導者アルソバイアデスの登場を用意したことになった。彼は古代ギリシャの歴史で偉大な人物とみとめられてる。次回に彼についてのべ、さらにニキアスの平和協定につきさらに説明する。

(おわり)



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