SSブログ
教科書 ブログトップ

竹富町の教科書 [教科書]

5月24日、文科省の指導を無視した教科書採択が問題となっていた沖縄の竹富町にたいして文科省は違法性確認の訴訟を提起しないことを表明した。同時に協議会から離脱する竹富町やそれをみとめる沖縄県に遺憾の意をしめしながらも、やむ得ないとした。これで国と地方、さらに県と町との関係、教科書無償措置のやり方にかかわる複雑な問題が、一応の決着をみた。その経緯である。

2011年8月、教科書無償措置法にもとづく法定の協議会が開催され育鵬社の教科書の採択を教育委員会に答申した。ところが竹富町教委は協議会の運営方法に不満をもって、この答申とちがう東京書籍の採用をきめた。文科省は、この決定の違法性を問題として、監督の立場にある沖縄県に、是正を指導した。是正されないまま2年が経過し、竹富町には、2014年3月、地方自治法にもとづく是正措置要求をだした。竹富町はこれにしたがわず、不服申立もしなかった。このように国が町に直接に命令をだすのは、はじめてのことだという。ところが竹富町もしたたかである。

この協議会は石垣市、竹富町、与那国町からなるが、これから離脱し、町独自の教科書を採択する。これは教科書無償措置法が改正され採択地区の単位が町までみとめられた。沖縄県が地区設定の権限があるが、これを了解したのである。これにより、あたらしい教科書採択については違法性が解消する。ところが過去の違法性は解消しない。これをどうみるか。

竹富町がわがままをとおし、監督するべき沖縄県も職務をはたさず黙認した。でも過ぎたことだからしようがない。子どもたちがかわいそう。訴訟は金も時間もかかる。今更ことをあらだててもしようがない。というのが文科省の立場だ。でも教育なんだから。きまりはちゃんと守りましょう。勝手はだめでしょう。という声がきこえてきた。で、わたしが下表をまとめてみた。

竹富町、沖縄県、文科省の言い分
組織言い分
竹富町 違法性 2011年の協議会で石垣市がかってな運営をやった。3市町の教育委員会の委員が多数決で東京書籍の採択をきめた事実もある。文科省にお伺いをたてたら、竹富町が独自の財源で教科書(これは中学校の公民である)を提供することまで禁止しないという指導をもらった。
協議会の答申は法定の手続きだが、それの内容に教委が従えという規定があるのか。同一の教科書を採択というのは、いわば財政上の必要性だ。
竹富町は民間の寄付により独自に実施してきた。東京書籍は検定をへた立派な教科書だ。この問題に、この法による違法性云云は範囲外だ。
地区離脱 地区の離脱について、八重山地区の一体性をとりあげ不適切とするが国が関与することか。権限をもつ沖縄が判断してさだめるから余計なお世話だ。採択に必要な事前手続としての教科書研究に人員が不足することを心配するのも、余計なお世話だ。自分たちでちゃんとやれる。
沖縄県 監督責任 教科書無償措置法の運用は地方の実態にそくして運用すべきである。採択する自治体の意向を重視すべきだ。
文科省 違法性 教科書を教科書無償措置法により提供するのは重要な教育行政の一つである。国、地方がこの趣旨を理解し実施につとめるべきである。このような体制をみだすことは重大な問題である。
竹富町はこの趣旨を理解せず、いたずらに自己の立場に固執し、地域を混乱させてる。法のさだめる手続にそい、他の2市町と協議をかさね、趣旨にそった運用をはかるべきだ。それをまったく無視している。
是正命令をだしたのに、それを無視した。
地区離脱 地理的にも八重山地区は一体であり、教員人事も一体的に運用してる。同区の石垣市も独自路線を懸念してる。


結論

わたしは違法性の確認を裁判であらそうべきと思う。文科省の主張はけっした根拠のないものでない、余計なお世話かもしれないが、その心配するところも合理性がある。是正命令までだした。充分にあらそうにたる。他方、竹富町も、自己の主張をとおすについて、よく考えている。立場がちがえば、ぶつかりあうことはある。そのあらそいを無益とばかりきめつけるべきでない。何故あらそわないのかと思う。

わたしは、文科省は本当に違法性があると思っていないのではないか。たんなる行政指導をおおげさにいっただけではないかという疑いをぬぐいきれない。さらに是正命令までだした。それを竹富町は無視した。なのに行動をおこさない。やはり違法性がないと、一般人は思ってしまう。その裏にどんな大人の事情があったのかしらないが、こんなわけのわからない行政がまかりとおるのは御免こうむりたい。こんなおそれもかんじる。

この国の外交についてよくかんじることだ。おなじだなと思う。声高に叫ぶ一方的な主張に充分な反論もなく。大人ぶってる。一般人にとってはその裏でどんな事情があったのか、しるよしもない。大丈夫かという不安がのこるだけである。過去をふりかえれば、一方的な主張を放置して国際世論がそれを事実と認知してしまう。それが最後にこの国に重大な被害となる。同じようなことがおきるように思う。今からでもおそくない、違法性を裁判であらそってほしい。

教科書 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。