日立、年功賃金を廃止 [実力主義]
実力主義への脱却、この掛けごえは、これまで何度もきいた。毎日新聞のネット記事で日立が年功賃金を廃止し、世界同一基準の賃金体系を採用するとの記事をみつけた。
日立は年功賃金を廃止し、GEやシーメンスのような世界的企業を参考にし、世界同一基準の賃金体系を適用するという。これで世界から優秀な人材を採用したり、中途採用者への不利を解消するという。それで下の表を作成した。
名前 | 基準 | 適用対象 |
---|---|---|
日立 | GEやシーメンスを参考に、年功を廃止、 | 課長以上 |
米GE、独シーメンス | 年功でなく担当するポストの重要度 | おらく現地採用は別、下に補足あり |
日産自動車 | 等級による。年齢による制限を撤廃、30代でも部長級 | 管理職からはじまるが現在は全社員 |
ソニー | 年齢に関係なく担当する仕事の内容 | 全社員 |
パナソニック | ポストに応じた給与 | 管理職 |
ユニクロ(ファーストリテイリング) | 7つの等級による。実質世界同一給与。年功はない。 | 役員 |
適用の対象者について補足する。世界的に事業を展開する企業では、秘書、タイピスト、清掃員、警備員、自動車運転手などを現地採用する。この賃金体系はこれらとは別体系となってるようだ。さらに日本では各種派遣社員、清掃、運転手の外注といったことがある。この賃金体系の適用外の人間がいる。わたしの感想である。
この基準の考えには実力主義がある。この一見もっともらし言葉には常に胡散臭さがただよう。年功があってこそ社長になれた人が実力主義をとなえる。日産のゴーンさんは別にして、声高に実力主義はどうもあやしい。実力主義がグローバルスタンダードか。これ欧米中心のスタンダードと補足すべきことである。ある記事にアジア経済研究所のおらく所長の講演だろう。2050年までに世界のGNPの半分はアジアがしめるという。この時、グローバルスタンダードがどうかわるか。さらに横並びになじみきった、この国で実力をどう判定するか。
欧米ではオフィスは個室という。企業の戦略の変更により創設されたポストは廃止され、それについていた人は回顧される。それは不名誉のことでない。求職活動のインタビューでポストが廃止され、会社をやめた、と説明する。不正、スキャンダルによりやめたのでないから不名誉でない。それを明示した文書をやめた企業からもらうこともある。
年功賃金はながくつとめると得をするという考えである。実力のある若手が、中年の同僚をみて、自分のほうがはるかに仕事してるのに給料がやすい、と不満がでる制度でもある。しかし企業が経済の荒波の中で生きぬくのには忠誠心が必要だ。米国のようにドライに時代の変化とともに消滅、生成されるのとちがう。企業は永遠だという幻想に共感する人がおおい。で、結論である。
安倍政権もこの実力重視の考えをもってるようだ。労働者の団体と話し合いをするそうだ。胡散臭さがただよう実力主義は本当か。あたらしい仕組みが受けいれらるには信頼が必要だ。わたしは、これは人件費の抑制の隠れ蓑でないかとうたがってる。経済成長の中で定着してきた年功賃金は修正を余儀なくされている。もっと率直に議論して、あたらしい仕組みを考えた方がよい。