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再生可能エネルギーの破滅 [脱原発]


* 1) エネルギー構成の長期見通し
ちょっと地味な話しだが、この16日に発表された日本のエネルギーの長期見通しについてのべる。これで、原子力については20%から22%に、再生可能エネルギーについては22%から24%とした。これはそれまで30%もあった原子力をへらし、再生可能エネルギーを倍増させるものである。東日本大震災から原子力に逆風がふいた。環境にやさしいといわれる再生可能エネルギーの推進に拍車がかかった。次々と原子力発電所が休止においこまれ、やっと最近にたしか川内原発が再開にむけてうごきだした。

この見通しは、一時まるで原発全廃につきすすみそうだった。選挙により復活した自民党政権が国民の総意をうけ、方向を修正した。この見通しは、わたしがblogでいった、漸進主義でこのエネルギー問題にとりくむ。この姿勢は、一応、妥当と思う。

* 2) 本の紹介
「木材、石炭、シェールガス、文明史が語るエネルギーの未来」という本にであった。わたしは反原発の動きの中でかたられる再生可能エネルギーの夢に危うさを感じてた。たとえば、大規模な風力発電は、風の流れをなくす。流れを大幅に変更することになる。ならばそれは完全な自然破壊、環境破壊となる。現在、夢としてかたられる。それは補助的な位置にあり、初期の段階にあるから。本格的段階に移行すれば弊害も本格化し、夢が悪夢にかわるかも、と思う。それを本格的に論じないまま、夢だけが独り歩きしてると感じた。さて本の内容である。

木材、石炭、シェールガス 文明史が語るエネルギーの未来 (PHP新書)

木材、石炭、シェールガス 文明史が語るエネルギーの未来 (PHP新書)

  • 作者: 石井 彰
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2014/04/16
  • メディア: 新書




* 3) 産業革命前の自然破壊
19世紀、英国において石炭というエネルギー源の利用により産業革命が推進された。歴史の教科書にある。問題は産業革命がはじまる、その前の自然である。経済が発展し、その活動に必要なエネルギーが不足、むしろ枯渇してきた。そこに圧倒的に効率のよい化石燃料の石炭が発見されて産業革命が推進された。薪、炭の火力、風車、水車の動力の従来型の利用は限界になってた。英国の森林はほとんど完全に伐採され、荒地となる危険にさらされてたという。この事情は日本においても同じである。

ほぼ同時期の日本でも必要なエネルギー源の確保のため、江戸周辺の山は禿山となった。山頂に松が一本といった風景が浮世絵にある。松茸が松林にはえる。伐採により疎林となった環境が松茸の適地である。この本の指摘で思いだした。戦後まもないころ、よく父親が酒のさかなにしてた。松茸はそれほどの高級食材でなかった。現在の高級ぶりにはあきれるほどだ。さて、このような状況は、歴史をさかのぼると、最古の文明とみとめられているメソポタミアや、インドのモヘンジョダロにもあった。森林にかこまれ、そこからのエネルギーを利用してた文明が繁栄した。ところが森林伐採がすすみ砂漠化した環境により維持できなくなった。これが文明史がおしえる教訓である。産業革命によりあたらしい段階にはいった文明は石炭という化石燃料にささえられた。その後、石油、天然ガス、原子力といったエネルギー源により現在にいたる

* 4) 地球温暖化とCO2濃度
ところが地球温暖化という問題が指摘され、それがCO2の大気中濃度の上昇という現象とむすびついた。そこでCO2を排出しない、風力、水力、薪炭(これは樹木として成長する際にCO2を吸収し、それをもやす時に発生するものも、差引すれば発生しないと考えてよいらしい)やバイオマスに注目があつまった。その利用がさかんにさけばれる。ところがこの本の著者は、たとえば現在の欧州が必要とするエネルギーは、産業革命以前に必要としたエネルギーの100倍から50倍になる。すると再生可能エネルギーでまかなうのは不可能、あるいは甚大な環境破壊、生態系破壊につながる。従って、地球温暖化の問題にとりくむには、このエネルギーにたいする過大な期待をすて、石炭、石油、天然ガス、再生可能エネルギーの最適な利用によるべきというのが結論のようだ。

わたしはこの結論に納得できるが、それより大規模な再生可能エネルギーの利用が自然破壊、生態系破壊につながるという指摘に、まさに目から鱗がおちる感じがした。太陽光発電について大規模にすすめられると、植物が享受してた日光をうばう。生態系に深刻な打撃をあたえる。また、太陽光パネルは70度の高温になる。それにより現在の東京都市部でおきてるヒートアイランド現象がおきる。具体的な問題点の指摘に納得した。ところで冒頭で地味といったが、あれはドイツのメルケル首相のことが念頭にあった。

* 5) 結論
今、世界中をさわがせてるギリシャ問題の一方の立役者であるメルケル首相は原発廃止に一路邁進してる。すでに破綻すら感じさせる(わたしのblog、14/05/12を参照)。これでもまだ頑張るのかと思う。

さて、スキャンダル好きなわたしにとってこの本は面白い話題を提供してくれる。それは、地球温暖化とCO2の大気中濃度の上昇についてである。これは次回のblogでとりあげる。

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