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アレクサンダー大王、その五、タイヤの戦い [英語学習]

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* はじめに
アレクサンダー大王の事蹟をその戦いをとおしておう。今回はアレクサンダーがペルシアの制海権をうばい、その拠点であったタイヤを城攻めでおとした戦いである。
(The Siege of Tyre 332 BC、BazBattles、2017/03/10 に公開)

* アレクサンダー、制海権をうばいフェニキア沿岸を平定
マセドニアがペルシアの王、ダリウスに偉大な勝利をイッソスのちかくでおさめた。それが数ヶ月前だった。マセドニアの王、アレクサンダーはフェニキアの海岸にたって古代において非常に強固なまもりをもつ拠点をながめてた。彼はこれをこのままにしておけない。またほこりたかいタイヤの市民たちがアレクサンダーに服従し降服することはないこともしってた。マセドニアにとってとりたくない選択、ながくてくるしい城攻め。これが現実のものとなろうとしてた。

* タイヤの城攻めまで
紀元前三三三年十一月、イッソスでの戦いの余燼がまださめやらぬ頃である。アレクサンダーがこれまであげてきたかがやかしい勝利をまだ一度もいわってない頃である。彼にとり東進への道がひらかれたがその遠征に乗りだそうという気持にはならなかった。彼は地中海においてペルシアの艦隊がなおも深刻な脅威となってることをしってた。これではペルシャ帝国内部への侵攻に力をそそぐことができない。それで彼は南進をきめフェニキアの裕福な海岸地帯を平定することにした。

紀元前三三二年一月、繁栄してる港町であり交易の中心であるアワッド、ビブロス、シドンは次々とマセドニアとの同盟関係にはいることをちかった。アレクサンダーの次の目標はシドンの三十キロメートル南の都市、タイヤにおかれた。これはフェニキアの都市でもっとも富裕で影響力をもってた。貴重な染料を産出し巨大な経済力で有名であった。また、なおもペルシャ帝国に海軍の基地を提供し、この地域でペルシャの影響力をのこしていた。この都市は二つの地区にわかれる。一つはふるいタイヤとよばれる沿岸の地区である。敵にたいする防禦施設がない。水、木材と墓地を提供する。

* アレクサンダーへの降服に抵抗
二つ目は沖の島の上、厳重に要塞化された地区である。あたらしいタイヤとよぶ。沿岸から七百メートル沖にある。この海の上の要塞は過去、おおくの城攻めにたえて今にいたってる。その有名な例が二百年も前のことバビロンの王がおこなった城攻めである。彼らは十三年もたえぬき最後に妥協が成立した。彼らがその抵抗力をしんじるのは無理がない。あつい城壁と強力な海軍、傭兵部隊をもってる。この都市を征服しようとの目論見はほとんど妄想にみえた。

マセドニアの意図を予見しタイヤはきたるべき城攻めにそなえ女子と子どもをカルタゴに避難させてた。このフェニキアの植民都市には四万の人々が自衛のためのこった。アレクサンダーはタイヤの城攻めは一年はかからなくとも数ヶ月をようする。おおくの資材と人力の投入を余儀なくさせられる。また彼はフェニキアの抵抗拠点をこのまま放置してエジプトに進軍することはできないとかんがえた。

当初、タイヤの使節はアレクサンダーの条件をのむとの印象をあたえた。しかしあたらしいタイヤにあるヘラクレスの寺院に彼が犠牲をささげることをみとめるという要求をことわった。使節はあきらかに罠が仕かけられることをおそれた。かわりにふるいタイヤにある寺院の使用を申しでた。それはアレクサンダーの受けいれるところとならなかった。本土側の施設は戦略的に意味がないとかんがえたからである。アレクサンダーはおおくの犠牲をしいる城攻めをさけるため最後の降服要求をおくった。しかしタイヤはマセドニアの使節を切りころし死体を海に投げいれた。

* 交渉の決裂
この非礼な行為はアレクサンダーを激怒させた。彼はただちにふるいタイヤの破壊と城攻めの準備をめいじた。ここですぐ疑問がうかぶ。アレクサンダーが船をつかわずどのように海上都市の城攻めをするのか、である。この答は簡単である。あたらしいタイヤは本土と自然にできた土の堤でつながってた。ただしそのほとんどが二メートルの水深にしずんでいる。アレクサンダーは破壊されたふるいタイヤの建築資材や残土をつかって本土と要塞都市をむすぶ連絡の道をつくろうとしたのである。

* アレクサンダー、城攻めの開始
はじめの建設は順調にすすんだ。ちかくに城攻め塔をつくる。そこから城壁にむけ投石、弓矢を発射するというもの。だがマセドニアの工作兵が城に近づくにつれ建設はすすまなくなった。水深がふかくなってきた。そのためよりおおくの資材や労力が必要となった。建設作業が相手の投石火器の攻撃の範囲にはいってタイヤの妨害もはげしくなった。牛皮でおおわれた二つの城攻めの塔がつくられ連絡の道の先頭におかれた。そこに装備された投石機が相手の妨害を邪魔した。これにより建設作業の進行をたすけた。

タイヤは自分たちの妨害工作がうまくいってないのをみてもっと積極的な妨害工作に乗りだした。ふるい馬を移送する船を持ちだした。そこにもえやすいものをつめ火をつけた。それを他の船で引っぱって桟橋にぶつけた。すると炎がひろがり柵や城攻めの塔に火がうつった。マセドニアは消火に躍起となってる工作兵たちはタイヤの海軍の攻撃をうけた。これで彼らを本土に逃走させた。アレクサンダーは攻撃をあきらめなかった。連絡の道の幅を二倍にすることをめいじた。そしてもっとおおくの城攻めの塔をつくることをめいじた。

* アレクサンダー、ペルシャの制海権をうばう
彼は海軍力で優位にたてないと城攻めに成功できないとさとった。シドンにもどり征服したフェニキアの都市の艦船にこの戦いに参加するようもとめた。またイオニアとマセドニアの船も招集することができた。こうして彼は百隻をこえる船をその指揮下においた。最後にはアレクサンダーの勝利をしったキプロスの王がマセドニアに味方してさらに百二十隻の船をマセドニア艦隊に参加させるよう願いでた。劇的に増大したマセドニアの海軍力を引きつれてアレクサンダーはタイヤに船でもどった

こうしてタイヤの艦船を港に追いやった。こうして制海権をにぎった。城攻めの塔は再建され連絡の道におかれた。今度はさらに艦船に装備された投石機から都市に投石の攻撃をおこなった。このように攻撃力が増強されたにもかかわらず島の要塞はくずれず降服の意志はなかった。タイヤから突撃があった。城攻めでマセドニア艦船が海上にいた。その錨の鎖を切断した。今度は反撃にあい港に逃げかえった。しかしなお縄を潜水兵が切断するという攻撃をくわえた。このため縄のかわりに鎖をつかわざるをえなかった。

* 攻撃が城壁に近づく
艦船の装備をかえ城攻めの打撃槌をそなえた船をつくった。これをつかうためにはマセドニアはクレーン船が必要となった。城壁にちかずけなくする外壁があった。それを取りのぞく必要がある。タイヤは城攻が危機的な状況にはいったことをしった。よりすぐった兵をあつめ突撃をおこなわせた。これをシドン側の港からおこなった。不意打ちは兵員が充分にいないキプロスの艦船がねらわれた。いくつかが破壊されその他は散開した。これで島北側の防禦への脅威が緩和された。アレクサンダーはすぐ反撃をめいじ彼らを港に追いもどした。彼らがやったことは一時的に包囲網に穴をあけただけだった。

妨害がつづいたがマセドニアは連絡の道を完成させた。彼らの妨害は不発におわった。マセドニアはさらに城内への侵入をはかったが人命の損失がふえた。船にのせた打撃槌が城壁に攻撃をくわえた。最後に効果がでた。南の壁にちいさなやぶれができた。トンネルの奧にぼんやりと明かりがみえた。城攻めが成功するとのわずかな希望である。アレクサンダーはその機会をずっとまってた。

* アレクサンダー、城内突撃をめいじる
アレクサンダーはよりすぐった盾持ち兵、特殊な兵(pezhetairoi)をやぶれへの攻撃にあてた。ここでマセドニアはあらゆる方向から火器による攻撃をくわえた。相手をこの対応に手いっぱいとした。この攻撃が引きおこした騒音や煙にかくされてアレクサンダーは崩壊が近づいた城壁の攻撃を指揮した。はげしい戦いがやぶれ周辺でおきた。まもなく攻撃側は都市に侵入した。このやぶれがおおきくなり、おおくの部隊がなかに侵入した。無慈悲な殺戮がおきた。マセドニアの兵は六ヶ月のくるしみをこの機会にはらした。六千のタイヤがころされ、さらに二千が海岸で十字架にかけられた。アレクサンダーは寺院に退避した者の命をすくった。のこりの三万の市民を奴隷にうった。マセドニアの王にさからうこと。その代償が極めてたかいことをしめした。

* 南進への道をひらいたタイヤの戦い
タイヤの服属がアレクサンダーの偉大な功績であることはうたがいがない。彼のたくみな外交技術、たしかな戦略眼、強烈な遂行の意志を血ぬられたかたちでみせつけた。フェニキアの沿岸地域を平定してはじめて彼は南に集中することができた。そして次の作戦にとりかかることができた。アフリカにはいりナイルの繁栄してる谷を支配してるペルシャにたたかいをいどむことができるようになった。以下は補注のようなものである。

アレクサンダーがつくった連絡の道はそのままのった。潮流が変化し何世紀ものあいだに拡張された。

ペラのダイアデスはアレクサンダーにしたがいタイヤをうばった。彼は才能にあふれるエンジニアである。マセドニアの城攻め塔におおくの発明をした。これらはアレクサンダーの遠征においてひろく活用された。

タイヤの守護神、メルカアトはギリシャ人からはヘラクレスとおなじとみなされている。

(おわり)

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