小保方さん手記発表 [STAP騒動]
* はじめに
stap騒動の小保方晴子さんが手記を発表した。そこで主張してるのは次のとお
りである。
* 小保方さんの言い分
1) 自分の本来の研究はもっとつつましかった
ハーバード大学のバカンティー研究室時代から研究してたのは、体の組織、皮膚とか心臓とかの分化してしまった細胞に酸の刺激などをあたえると、どんな細胞にでもなれる多能性細胞にもどる。このような現象がある。これをstap現象といわれたもの。存在を証明しそのメカニズムを解明することだった。
2) ところがIPS細胞をこえる細胞ができるのではと、大騒ぎ
ところが、こうしてできた細胞はほかの細胞になることができると証明するため、若山氏(山梨大学)がはいり、stap肝細胞もキメラマウスもつくった。
3) こうなると巨額の特許料がうごく世界が登場する
ハーバード大バカンティ研究室、山梨大若山研究室、理研の思惑が渦まく世界に自分は引きすりこまれた。大々的に公表し、たちまち初歩的ミスを指摘、自分だけが悪者になった。
4) stap現象の再現ならできた、キメラマウスの作成は若山さんの仕事
当初の分化した細胞を刺激で多能性をもった細胞にすることはできた。キメラマウスは若山さんの分担。つくり方をおしえてといったが、おしえてもらえなかった。自分の責任でない。
ここでタネ明かしをするが、私はこの本をよんでない。評論家の山田五郎さんが見事にまとめておられる。それを利用した。話しをつづける。
* 手記への感想
1) 一応筋がとおってる
stap細胞の存在を証明するには次の3つが必要とされる(私のblog 2014年5月8日)
ア) シャーレ上で培養し別の細胞をつくる
イ) 別のマウスにうえつけテラトーマ(奇形腫)をつくる
ウ) 初期の胚にいれてキメラマウスをつくる
後ろほど困難で実現すれば実用性がたかくなるようだ。小保方さんのstap現象の再現はこれの初歩的段階のようだ。
こうみれば、主張の筋はとおってる。ところがである。
2) 小保方さんは論文作成の筆頭者である。作成者の中の事情はともかく論文全体の責任をとわれるのは、やむ得ない。それがいやなら論文をわけて責任の所在を明確にすればよい。ところがこの手記の面白さは次にある。
山田さんの解説によれば、手記は若山さんへの恨み節にみちてる。当時、小保方さんは奪いあいだった。山梨大の助教授にさそってた。世間の批判のたかまりにたちまち保身をはかり若山さんはマスコミに情報をもらしだしたという。
ここでの若山さんはなかなか、したたかだ。実用的な意義があるのはキメラマウス作成技術だろう。もし論文がみとめられてたら、論文筆頭者の栄誉より実質の若山さんが利益を独占しそうだ。自分はできるだけ矢面にたたず、しっかり実利をにぎるという人物像がうかぶ。さて結論である。
* 結論
小保方さんは理研の研究不正の委員会に不正を指摘され、反論の機会があったのに、しなかった。つまり不正をみとめた。上記の主張もこの事実があるだけによわい。一般人の私には関心がもてない。科学界で議論の余地があるかもしれない。だが、山田さんによれば理研が反論してるという。再現性はひくい。かりに再現されてた、としても実際上の意義はない。とはいえ、小保方さんが主張することには反対する必要もない。私にとってのこの手記の意義である。
わたしは、一貫して若手研究者育成への配慮を希望してきた。小保方さんが犯罪性をもった詐欺師とはおもえない。大人の側にきびしくも思慮ぶかい配慮あがれば 中堅研究者への道があったとおもってる。この騒ぎで研究者のみならず彼女の人生そのものを否定してしまったようにおもってた。今回の手記に出あい、とにかく元気がのこっていることをしって、ほっとした、というところである。
2016-02-17 23:56
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