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STAP騒動その2 [STAP騒動]

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2014年4月18日まとめ
STAP細胞の騒動はまだおさまらない。小保方さんの研究指導者である笹井芳樹氏がやっと記者会見に登場した。誰もがしりたい、STAP細胞のあるなしには「STAP現象は最も有力な仮説」という、むづかしいいい方でこたえた。どうやらあると信じておられるようだ。勿論、それは科学的検証が必要ということだろうが、すっきりと素人でもわかる表現ではなかった。でも、あると思っておられるのだろう。記者とのやりとりから、小保方さんがどのような研究をやってきたか、それに笹井さんがどのように関係しておられたかが見えてきた。

まず、小保方さんの研究活動である。下表のとおりだが、2006年に学部を卒業し大学院にすすんだ。博士課程において、ハーバードに留学し、バカンティー教授のもとで研究をし、理研の客員研究員となり、そこで若山さんの指導をうけ、さらに理研のユニットリーダーとなった。もともと工学系の 応用化学であったが、大学院において医科学、発生再生医学の分野にすすんだ。工学系から生物系に転進したが、研究の進展にともなうものであろう。関係する機関が早稲田大学、東京女子医大、ハーバード大学、理化学研究所であるが、それにふさわしい分野に所属している。

笹井氏の指導、論文執筆者
時期笹井小保方ネイチャー
12.春客員研究員不受理
12.12下書き直し客員研究員
13.2実験技術指導、論文改訂客員研究員
13.3Uリーダー投稿
13.4追加実験参加、技術指導Uリーダー
13.9責任著者Uリーダー
14.1Uリーダー公表


小保方氏の専門推移
時期小保方早大東女医大Harvard U理研
~06年学部応用化学
06~08年院修応用化学医科学
08~11年院博、留学医科学医科学発生再生
11年~客員研究員発生再生
13年~Uリーダー発生再生


次にネイチャーに論文を公表するまでの経緯である。論文の作成には次のような四つ段階がある。

1) 実験の計画、企画
2) 実験の実施
3) データの収集、解析、図表
4) 論文の作成

1) は、2008年から2年間ハーバード大学に留学した時期である。2) は理研研究員の時期、2011から13年の時期である。ここで若山さんに指導をうけた。3) も、おなじ時期である。小保方さんは、2012年春ににネイチャーにいったん投稿したが、これは受理されなかった。そこで笹井さんが登場する。笹井さんは、iPS細胞でノーベル賞をうけた山中伸弥氏とおなじ京大の出身である。一時、ノーベル賞を山中さんより先に受賞すると噂されるほど、実績もあり高い評価を得ている人だそうだ。若くして教授に昇進し、理研に転進した。小保方さんは理研のユニットリーダー採用に応募した。笹井さんは人事委員会の委員として採用の面接をした。それが論文指導のはじめだという。この年の春にネイチャーへの投稿が不受理となっていたので、笹井さんは上司の依頼もあり、論文指導にあたることとなった。論文は2013年3月に投稿された。ネイチャーとのあいだに、やりとりがあり、2014年1月の公表にいたるのである。その表が下のとおりである。

論文公表に至る経緯
時期段階指導者nature小保方
08~10企画バカンティ留学
11~13実験若山(11~12)不受理12春理研
11~13解析、図表若山(11~12)理研
12.12~14.1論文作成笹井提出13.313春Uリーダー
14.1公表笹井公表Uリーダー


笹井さんの指導についてもうすこし、見てみたい。

笹井氏の指導、論文執筆者
時期笹井小保方ネイチャー
12.春客員研究員不受理
12.12下書き直し客員研究員
13.2実験技術指導、論文改訂客員研究員
13.3Uリーダー投稿
13.4追加実験参加、技術指導Uリーダー
13.9責任著者Uリーダー
14.1Uリーダー公表


公表にいたる経緯は以上であるが、この研究の画期性は山中さんのiPS細胞と肩をならべると思うが、スキャンダル性はこちらが上だ。会見で記者から不適切な関係があったかと、きかれた、勿論否定されたが、これがネット人気をたかめる要因になったようだ。STAP細胞のあるなしの方がずっと面白いと思うのだが。トカゲの尻尾きりからの再生、プラナリアの胴体を三つにちょん切ったら、頭と尻尾がついた三つの個体が再生する。例えば笹井さんと山中さんの首をちょん切ってそれぞれ相手の胴につなけたらどうか。こちらの方が断然面白いと思うが、一般の関心をあつめない。この騒動はまだまだつづきそうだ。事実があきらかになるまで、見守もればよいのに、そうはならない。どうしてか考える。でもスキャンダルはあつかわない。

わたりあるいた研究

小保方さんは早稲田の大学院に籍をおいたが、東京女子医大の医科学、ハーバード大学の発生再生の分野が本籍であった。そこで研究をすすめ、早稲田で博士号をとった。その後ハーバードにもどることも考えたようだが、理研の客員研究員となった。そこで若山さんに指導をうけたが、それは、2011年の一年間だったらしい。若山さんは翌年に発足した山梨大学のあたらしい研究組織にむかえられることとなった。ネイチャーに投稿された論文の研究は実質、2011年から2013年のものだった。ネイチャーからはいろいろ注文がついたらしい。論文修正や追加実験が必要だった。ここでは笹井さんが指導した。このように複数の指導者のもとで、いわば細切れの指導をうけると、丁寧な指導は期待できない。研究室に所属していれば、そこの同僚、先輩から啓発指導をうける機会があるが、それも充分であるまい。小保方さんは、理研において客員研究員であって、研究員ではない。組織により差があるが、正規の研究員でないことは、大なり小なりハンディキャップとなる。それにユニットリーダーへの抜擢である。風当たりのつよさもうなずける。

研究の画期性

STAP細胞の存在がみとめられたらノーベル賞クラスの評価をうける。これは間違いのないことだと思う。ところがこれを世間の研究者はよろこんで、みとめるか。小保方さんの方法は、オレンジジュースよりすこし酸っぱい酸につけることで、細胞を初期化するという画期的な方法である。こんな簡単な方法、あるいは発想でできるなんてことを従来の研究者はみとめたくない、不都合な真実ではないか。山中さんは「ワクワクする」といった。こんなに素直な気持をもっている人ばかりでない。必ず悪意をもった匿名の人がいる。舌なめずりをして、アラさがしにとりかかるだろう。

結論

結論である。理研は若い才能を発掘し育てようとする意欲と知恵にかけているように思う。

1) 理研は責任を感じなくてもよい
小保方さんは、東京女子医大、ハーバード大で実質的な研究をしてきた、理研では客員研究員にすぎない。若山さんのところに所属したが、その指導はせいぜい、2011年の一年間である。翌年には若山さんは山梨大学に移籍がきまり、その準備におそらく忙殺されていたろう。客員だから、研究室の同僚、先輩による協力指導も濃密なものでなかったろう。でなければ、あのようなずさんな資料の管理、ノートの記録が非難されることもなかったろう。2013年、理研のユニットリーダーとなった以降の研究は論文とは基本的に関係がない。理研はこの事実を明確にすべきである。こんな事情に配慮した小保方さんの受け入れが必要だった。

2) 調査報告書は撤回した方がよい。
ここで、小保方さんの研究不正を認定し、捏造、改竄という研究者の将来を否定しかねない言葉をつかった。ところが、同時に、この騒動の根本であるSTAP細胞の存在のあるなしは、この報告ではあつかわないと明言した。捏造や改竄という重大な事実はSTAP細胞の存在を究明すると同時に判断すべきことである。それを放棄してこのような重大な指摘ができるか。もうすこし法律的な側面もある。研究不正は、研究者の悪意の認定が必要である。ネットの記事から、かって理研で悪意を認定して研究不正とした。これを公表もした。ところが研究者がこれを認めず争いとなった。結局、両者は和解し、この公表の事実は撤回されたそうだ。悪意の事実は裁判で容易に決着のつくものでない。にもかかわらずこの指摘である。何故か。ここですこし、いやなことを、いわざるをえない。

小保方さんは、複数の組織をわたりあるき、強力なバックをもたない。理研においては客員という非力な存在だった。ユニットリーダーに抜擢されたが、まだ一年しかたっていない。すこし軽くみたのではないか。これほど強硬な対応をしてくるとは思わなかった。予想外だった。ここでは若手をそだてようという意欲より、予想外の騒動となったので火消しに奔走する姿がうかんでくる。報告を撤回し無用な混乱を収束させる。世間の若手研究者は息をひそめてみつめている。小保方さんに厳しい指導をおこなうのは、その後である。

3) 発表後の騒動を予測すべきだった。
あとからは何とでもいえる。そういう反論がありそうだが、やはり知恵がたりなかったといわざるをえない。あのような形で若手研究者の論文を公表する必要があったのか。割烹着を小保方さんにきせたり、ピンクの研究室を紹介したり、すでに実績もあり評価のさだまったiPS細胞と比較し、STAP細胞を宣伝した。大袈裟すぎる。香港大学のある教授がSTAP細胞はできなかったが、顕微鏡でつかうプレパラートに細胞をはさんだら多能性のある細胞ができたようだとブログでつぶやいた。これもネットの世界をかけめぐった。この教授は、らしきものができたので、これから事実確認をさらにしてゆく必要があるといった。論文をネイチャーに投稿するつもりはないらしい。

1) わざわざ論文公表を記者発表しない。取材されたら説明をするにとどめる。
2) 論文にしない。それよりパテント取得をにらんで、どんどん実績をつくる。
3) あるいは、内部でさらに実験をかさねて事実を確認する。それをふまえて論文も公表する。

またまた、いやなことをいわねばならない。笹井さんは記者に何度もノーベル賞をとった山中さんへの対抗意識はなかったか、ときかれた。ないと否定しておられたが、どうだろうか。理研が小保方論文に貢献したのは客員時代のせいぜい一年間でないか。東京女子医大、ハーバード大よりおおきかったか。理研は小保方論文の未熟さにそれほど責任を感じる必要もないがリケジョの星と自賛するのもおかしい。特定国立研究開発法人の認定を意識していそいだかもしれない。いずれにしても対抗意識が冷静な判断を狂わせた。小保方さんには気の毒だがその未熟さを見極められなかったと思う。やはり笹井さんの責任はおおきいと思う。

笹井さんがSTAP細胞に真摯にむきあおうとする気持も、小保方さんをおもいやる真情もつたわったが、これからどうするのか。これ以上の混乱はさけてほしい。

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