SSブログ

マウスは自分のところかも [STAP騒動]

neko.gif

小保方さんからもらった細胞は、自分がわたしたマウスのものではないと主張してた若山さんが、前言を訂正した。DNA解析の結果、そのような結論になるらしい。あきれた。何という言葉の軽さか、怒りがこみあげてくる。この主張の重大さはstap騒動の9、10で指摘した。論文不正は主張する側の主観がはいるが、これは研究不正に直接かかわる重大な事実となる。原告、被告がたがいに主張しあって、痛み分けとなるような問題でない。白か黒かである。何故こんな主張が軽々しくおこなわれ、また、訂正されるのか。

おそらく、この国の科学、この世界の住人は真実をどこまでも追及する。争いの中でも追及するという、真摯さが麻痺した世界なのだろう。理研も若山さんも、小保方さんはけっして裁判に持ちこんでまで真実をあらそうことはないと、信じこんでるのだろう。ネットであらためて記事をしらべた、かわいそうにこの主張をうけて、恐しいとまで小保方さんを評しているのがあった。振りかえると軽率な若山さん、その場しのぎの理研、つっこみどころ満載の小保方さんと、役者ぞろいで、さぞマスコミはおいしかったことだろう、ブロガーとかいう職業も最近はあるらしい、いいネタをみつけたと思ってるのだろう。

「これで小保方さんが正しい」というなよ、といいたい。真実はときには残酷である。stapの存在が実証されたわけでもなければ、小保方さんが研究不正をおこなわなかった、というわけでもない。

STAP騒動その11 [STAP騒動]

neko.gif

STAP問題の小保方晴子さんは、博士論文の取消しが問題となっていた。早稲田に設置された、この問題の調査委員会がこのほど取消しにあたらないと、その判断を公表した。小林英明委員長が弁護士としての観点をふくめ、判断の経緯をのべてる。丁寧で面白い。

早稲田の学位規則では「不正の方法により学位の授与を受けた事実が判明したとき」と定めている。その趣旨は次の2点である。

1) 心情的にはおかしいと思っても学位は取り消すことができない
法律行為であるので、厳密に規則によって適用を検討する。すると該当しないから取消しはできない。その骨子は不正行為において、不正と認識してる必要があるが、それがない過失であれば該当しない。

2) 「不正の方法」が重要な影響を与えたとはいえない
さらに不正の方法があったとしても、その事実が学位授与との間に因果関係があることが必要だ。その事実はない。つまり科学論文であるので、実験結果の部分で盗用がない以上、重要な影響をあたえたとはいえない。

真摯にこの問題に取りくんで結論をだされた。その労苦を多とするが、武田邦彦さんは、論文の序の部分で、研究分野の紹介をする。その紹介で流用することは問題ないと明快に断定しておられる。小林委員長は、多数の問題箇所があった。内容の信ぴょう性および妥当性は著しく低い、と批判しておられるから、調査の対象がこの問題だけでないという事情はあった。しかし、いかにも長い時間をかけた、との印象がある。さらに批判は痛烈であるが、わたしは強い違和感を感じる。若手研究者の育成との観点が希薄すぎるということである。

これも同様に武田さんが指摘しておられる。欧米のジャーナルにおいては、そこに評価すべき新しい知見があれば、ミスには寛容であるという。かっての博士論文は完成した研究者にあたえられる称号だった。それがいまや、研究者として巣立ってゆく資格を認定するものとなってる。特に理工系ではその意図が顕著である。その意味で痛烈な批判は言いすぎだ、と思う。さて結論である。

小保方さんの博士論文を審査した早稲田は、相当、評価をさげたと思う。ここで、学位審査のありかたにつき、新しい指針を示したらどうか。その際、ぜひ若手研究者の育成という観点を明確にしてほしい。


STAP騒動その10 [STAP騒動]

neko.gif
若山さんが、自分がつくったstap幹細胞は、自分がわたしたマウスのものでないと重大発表した。これをうけて、小保方さんが6月18日、マウスも細胞も若山研からもらったものをつかった、と反論した。さらにSTAP細胞の再現実験に自分も参加したいと意欲をしめした。騒ぎで相当落ちこんでるようにきいていたので、その意欲に、けっこうなことと感じた。すこし昔の話しをする。

2004年、理研は研究者に研究論文の不正発表があったと公表し、論文の取り下げを勧告した。これを不服として研究者の一人(もう一人がいるようだ)が名誉毀損で訴訟を提起した。それから6年後の2010年に和解にたっした。理研は下記の内容を公表した。その全文を下表にまとめておいた。わたしの感想である。

まず、複雑で困難な事件をここまでもってきて和解としたと評価する。しかしずいぶん不徹底な内容だと指摘せざるを得ない。

1) 一番問題とすべき「研究不正」を指摘していない。一般的な研究不正への姿勢で前文末尾に登場するが。

和解1において、
2) 論文1において、論文の書き方が不適切だったことを研究者がみとめる、が、
3) その結論にあやまりがなかったと研究者が主張することに理研は異議をとなえない。

和解2において、論文2と論文3について
4) (もう一人の研究者が)データを改竄した(とみとめられる)ことにつき訴訟を提起した研究者にもそれなりの責任があることをみとめる。が、しかし、
5) 理研が研究者がこの不正に積極的にかかわったかのような記者発表をおこなったこと、これが不適切であったことをみとめる。

和解3において,
6) 理研がこの件のHPを削除すること、これに加えて
7) この事実をHPのトップページに掲載すること、その掲載を3年間つづけることをみとめる。

という内容である。この研究者がどんな方だったか。あるいはもう一人の方もどんな方か。勧告をうけた論文が取り下げられたのか。ネットでしらべたがわからなかった。

研究論文不正公表の和解
事項
記述
前文
平成22年4月6日 独立行政法人 理化学研究所

今般、平成16年12月24日付け「独立行政法人理化学研究所の研究員による研究論文不正発表について」及び「Publication of Fraudulent Research Papers by RIKEN Researchers」(以下「HP掲載文」という。)とそれに関連した記者会見に関する、理化学研究所を被告として提起された名誉毀損訴訟において、この度和解が成立し、HP掲載文は削除することとなりました。

HP掲載文の主旨は、「研究員による3篇の研究論文の不正発表について調査した結果、これらの研究論文に改ざんが認められたため、当該研究員(研究論文の責任著者2名:前職員)に対し研究論文の取下げ勧告を行った。」というものであります。

本件3篇の論文のうち1篇の論文については、実験データの加工などの不適切な処置があったことを原告が認めております。また他の2篇の論文については、本件の訴訟に加え、研究員であった別の者から同様の訴訟が提起されましたが、その裁判において改ざんまたはその可能性が高いことが認められているほか、データの改ざんについてcorresponding authorとして責任があったことを原告は認めております。したがって、理化学研究所としては、3篇の論文に関して論文取下げを勧告したこと及びその発表の主旨に誤りはなかったと考えています。

しかしながら、記者会見等において、原告が論文不正に積極的に関わったと受け取られかねない表現があったため、当時の一部新聞報道において、原告が不正に直接関わったかのような報道がなされ、そのため本件訴訟が提起されたものではないかと考えています。

理化学研究所は、今後とも研究不正には厳正に対処する方針であり、同様な事件が発覚した場合は、論文の取下げ勧告その公表を含む厳しい措置を執ることとしておりますが、記者発表等に際しては誤解を招かないよう、細心の注意を払うことに留意したいと考えています。

以下に、本和解の要旨を掲示いたします。
和解1 1 (1) 原告は、論文「Proplatelete formation of megakaryocytes is triggered by autocrine-synthesized estradiol(邦題:「血小板は自己合成されたエストラジオール(女性ホルモン)が引き金となって放出産生される」)掲載誌「Genes & Development 17,2864-2869(2003)」以下「本件論文1」という。」において、GFP付き3β-HSDを使用したことを明示した記載をしなかったこと、実験データのバンドを消去する加工を行った図を掲載したことが不適切であったことを認める

(2) 被告は、原告が、本件論文1の結論に誤りがなかった旨を適宜の方法で公表することに異議を述べない
和解2 2 (1) 原告は、論文「Regulation of APC Activity by Phosphorylation and Regulatory Factors(邦題:「リン酸化と制御因子によるAPC活性の制御」)」(掲載誌「Journal of Cell Biology,146,791-800(1999)」、以下「本件論文2」という。)及び論文「PKA and MPF-Activated Polo-like Kinase Regulate Anaphase-Promoting Complex Activity and Mitosis Progression(邦題:「PKAおよびMPFで活性化されたポロ・リン酸化酵素が分裂中期促進複合体(APC)と分裂期進行を制御する」)」(掲載誌「Molecular Cell, 1,371-380(1998)」、以下「本件論文3」という。)において、実験データの一部に改ざんがあったことにつき、corresponding author としての責任があることを認め、被告に対し、遺憾の意を表する。

(2) 被告は、原告が本件論文2及び3における上記不正に積極的に関わっていたかのような印象を与える記者会見を行い、また、ホームページ上に同様の文章を掲載したことにつき、それらの表現が不適切であったことを認め、原告に対し、遺憾の意を表する。
和解3 3 (1) 被告は、その公式ホームページ上に掲載されている平成16年12月24日付け「独立行政法人理化学研究所の研究員による研究論文不正発表について」及び「Publication of Fraudulent Research Papers by RIKEN Researchers」と題する日英両文の文書(URL:http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2004/041224/index.html及びhttp://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2004/041224/index_e.html)を本和解成立後1週間以内に削除する

(2) 被告は、前項に基づいて上記文書を削除した日から2週間、その公式ホームページのトップページ中に「お知らせ」欄を作成し、同欄に、日本語及び英語で、「平成16年12月24日付け記者発表内容は、削除しました。」と記載するとともに、前項に基づいて上記文書を削除した日から3年間、上記各URLに、日本語及び英語で、「12月24日付け『独立行政法人理化学研究所の研究員による研究論文不正発表』は、関係当事者間の裁判上の和解に基づき、削除しました。」と掲示する

以上


結論である。

理研の調査委員会が認定したような論文不正の比ではない。マウスがちがうという指摘は研究不正に直接むすびつく有力な証拠である。ここまではっきりと不正を指摘したからには、上記の和解のようなあいまいな決着はみとめられない。裁判で徹底的にあらそって、真相をあきらかにしてほしい。

STAP騒動その9 [STAP騒動]

neko.gif
若山さんが小保方さんにマウスをわたしてstap細胞をつくってくれって頼んだ。小保方さんはつくってわたした。それで若山さんはstap幹細胞をつくった。ところで、それを第三者の検定機関にしらべてもらったら、それは若山さんがわたしたマウスのものでなかった。という事実が6月16日に報道された。今まで小保方さんの研究不正は論文不正にすぎなかった。裁判となれば研究不正の立証には相当の困難が予想された。これは、研究活動に関する直接の証拠である。研究不正の強力な証拠となるだろう。

若山さんは小保方さんの実験ノートを見なかった。ずさんな管理に気づかなければならなかったが、優れた研究者と認識していたので、見せなさいとはいえなかった。と、反省しているそうだ。改革委員会の報告で、小保方さん採用の事情を読んだわたしには全面的には、同意しがたい見解だ。研究不正の規程により義務があったが、それをはたさなかったと指摘してる。同じ立場にあった笹井さん、CDBセンター長の竹市さんにも同様の指摘をしてる。小保方さんのことを考えると、何をしたのか、というより、あわれをもよおす。そんな気分となる。さて結論である。

小保方さんはこの報道について何があったのか説明してほしい。

STAP騒動その8 [STAP騒動]

neko.gif
6月12日に公表された改革委員会の報告書を下表のようにまとめた。大部で、ちょっとわかりにくくなったかもしれない。第3の「なぜ起きたか」がこの報告書の白眉と思う。これで小保方さんがバカンティ研究室に所属し若山研究室の客員研究員という不安定な身分で研究していた事情、研究ノート記録、データ管理が杜撰と指摘された背景があきらかとなった。とりあえず、下表をみてもらいたい。




報告書(下線部分は抜粋)
事項
説明
経緯 第1 本委員会の目的及び提言策定の経緯

2014年1月28日、STAP論文を公表、多大な注目、数々の疑惑の指摘
疑義に関する調査委員会が、3月31日、2点の研究不正を認定。小保方側の申立。しかし5月8日再調査の不実施を決定
調査委員会の報告を受けて4月8日、発生・再生科学総合研究センター(CDB)において自己点検検証委員会を設置、6月12日、報告書
また、研究不正再発防止のため改革推進本部を理事長の下に4月4日、設置。同時に外部有識者による改革委員会(本委員会)を設置。本委員会は岸輝雄東京大学名誉教授を委員長とし他に5人。6月12日に報告書
考え方 第2 提言にあたっての基本的な考え方

規程の不正にとどまらず科学としての不正こそが防止するべき対象
2004年の研究不正事案から数々取り組み、しかし今回の不正認定に新しい対策が必要
不正を認定された小保方氏のみならず監督の立場にあった笹井、若山両氏の責任も重大。またCDBセンター長、副センター長、グループディレクター(GD)会議メンバーも責任。理研全体にも責任
なぜ起きたか 第3 STAP問題はなぜ起きたか-STAP問題発生の原因分析

1 CDBは、小保方氏の資質と研究内容について客観的資料を基に精査する通常の手順を省略して小保方氏を採用した。その背景には、iPS細胞研究を凌駕する画期的な成果を獲得したいとの理研CDBの強い動機があったと推測される

ハーバード大学C.バカンティ研究室所属の小保方氏はCDB若山研究室の客員研究員としSTAP現象を研究。STAP細胞の樹立に成功したとして、論文を作成、2012年4月ネイチャー誌に投稿、不採択。
小保方氏は2012年4月27日、部内でSTAP現象の説明、松崎及びオブザーバーの竹市センター長も知るところ。この際、小保方氏はiPS細胞に対するSTAP細胞の優位性に言及
10月CDBは新任の研究室主宰者(PI)の公募を開始。11月14日のGD会議後の非公式な打合せで小保方氏が候補。西川副センター長(当時)が小保方氏に応募を打診。
小保方氏が応募。しかし応募書類の提出が間に合わず、選考委当日の12月21日に受領、面接セミナーを実施。しかし必要な推薦書が未添付。過去の研究実績を確認することなく内定。なお秘密性保持のため通例の公開セミナーを省略、さらに非公開も省略。若山研究室の研究実績の確認も未実施。
CDB竹市センター長は理事長に小保方氏の研究の優位性を説明、採用を推薦。理研理事会は採用決定
研究者として経験不足は否めないが、予算をつける必要から研究ユニットリーダー(RUL)として採用

2 STAP論文は、生データの検討を省略し、他の研究者による研究成果の検討を省略して拙速に作成された

力不足を認識していたので竹市センター長は笹井GD、丹羽プロジェクトリーダー(PL)を助言者に指名、natureに採択されるよう笹井氏に論文作成指導を依頼。12月以降、積極的に指導、バカンティ氏との関係から秘密保持を優先。閉鎖的状況が発生。笹井氏は過去データ点検を未実施。その結果おおくの誤りを看過。共著者との連絡不足、共著者による検証の機会を減少。
GD会議も研究者間において研究内容を多面的に検証することを過怠。すなわちCDB内で通常行われる研究討論会にSTAP研究は不提出。竹市センター長、GD会議メンバーも論文進捗状況の情報共有を図らず。2013年4月23日に米国国際特許締切に迫られた事情。

3 小保方氏の研究データの記録・管理はきわめてずさんであり、CDB はそのようなデータ管理を許容する体制にあった

研究不正の規程では、所属長に、研究レポート、各種計測データ、実験手続き等を確認すること、それらが研究所に帰属することを研究員に周知すること、それらを一定期間保管すること、他の研究者からの照会に対応すことなどを義務づけている。ところが、2012年4月以降、若山氏は(山梨大学に転出)雇用関係のない外部研究者であり、小保方氏も外部研究者(客員研究員)であったのでもともと管理がむづかしい状況。若山氏は2012年2月までは規程にいう所属長だったがこの職務をはたしていなかった。2012年4月以降は、変則的状況となったが特段の措置をとらず。
2013年3月以降は小保方氏の所属長は竹市センター長。さらに同氏はCDB全体の責任者でも。しかし本委員会の質疑に対して「そういう管理的なコンプライアンス的なことは私はしておりません。」、あるいは「(小保方氏にかぎらず)すべての新任の PI に対して私がその問題に対してやっていません。」と陳述。このことから責務をはたしていないばかりでなく、その責務があることも認識してないと判断

4 STAP 問題の背景には、研究不正行為を誘発する、あるいは研究不正行為を抑止できない、CDB の組織としての構造的な欠陥があった

小保方氏の研究ユニットは、国立大学の准教授クラスが運営する研究部門に匹敵。そのレベルを運営する PI としては実績、能力不足。不適格者を職権、杜撰審査で採用。竹市センター長、理研CDBトップ層の責任は重大
さらに、CDBにおいてはデータの記録・管理の実行は研究者任せ。CDBの組織全体としての取り組みはほとんどなし。

5 研修の受講や確認書提出を義務化しながらもそれが遵守されておらず、かつ不遵守が漫然放置されている

理研は2004年の研究不正事案の発生を受け監査・コンプライアンス室を本部に設置、規程の整備、講演会、管理職研修の義務付け、冊子作成、確認書提出の義務付け
ところが、講演会受講者は該当者519人中で215人。冊子についても読了し、その旨の確認書提出した者が594人中で452人
このような義務違反を漫然放置
冊子の冒頭で電気泳動における実験データの改ざんという事例が紹介。今回の研究不正事案と類似。効果の不確実を示唆

6 実験データの記録・管理を実行する具体的なシステムの構築・普及が行われていない

7 理研本体のガバナンスにおいて研究不正防止に対する認識が不足している

8 理研のガバナンス体制が脆弱であるため、研究不正行為を抑止できず、また、STAP問題への正しい対処を困難にしている
防止策 第4 再発防止のための改革の提言―研究不正の再発防止策として

個人及び組織の責任を明確化、相応の厳しい処分
任期制の職員の雇用を確保、早急に CDBを解体。新たなセンターを立ち上げる場合は、トップ層を交代、研究分野及び体制を再構築すること
STAP 現象の有無を明らかにするため、科学的に正しい再現実験
第2論文についてもすみやかに規程に基づき調査、不正の有無を。あわせて外部調査委員会による論文の検証徹底
公正な研究の推進を最上位命題に。その推進と研究不正防止を担う理事長直轄の本部組織を新設
研究不正を防止する「具体的な仕組み」を構築
理研のガバナンス体制を変更
外部有識者のみで構成される理化学研究所調査・改革監視委員会を設置、再現実験の監視、論文検証を。また監視委員会により本委員会の提言に基づく改革の実行をモニタリング・評価
結語 第5 結語

不正行為のの背景、原因追及が必要。新に捏造疑義の指摘、引き続き調査が必要。
STAP現象の有無を明らかにすることが、理研の社会的使命。小保方氏自身による再現実験も必要
新たに「理化学研究所調査・改革監視委員会」を恒常的に設置することが必要
CDBは解体・廃止すべき
理研本体も改革が必要。新しい役員・センター長等の人事を断行。理事と同数の外部委員を含む「経営会議」を立ち上げるべき。理事長直轄の本部組織として研究公正推進本部を新設。
前代未聞の研究不正の解明にあたり、理研内で真相と科学的真実の解明のため勇気ある行動をとっている研究者が複数名いる。本委員会は敬意を表すると共に、不利益な扱いをされないよう、要望する。
理研が日本のリーダーとして範を示すことが期待

報告書:http://www3.riken.jp/stap/j/d7document15.pdf

感想

これだけの報告書を2ケ月たらずでまとめられた委員会の努力を多としたい。まず小保方さんについてである。

あらためてかわいそうだと思う。iPS細胞への対抗心、おそらく京大への対抗心だろうが、それからたまたまCDB上層部に目をつけられて、能力不足が認識されていたにもかかわらず、大学でいえば准教授というポストに抜擢された。その上で画期的発見につながる論文作成をいそがされた。それに特許申請もくわわった。馬車馬のようにおいたてられて完成した。公表したところ、たちまち疑惑の指摘、いじわるな指摘の集中攻撃である。あっというまに泥まみれだ。これでいいのかと思う。

抜擢された。それにのった本人の責任があるのは否めない。がしかし、若い野心を誰が非難できるのか。CDB上層部の庇護をうけまさに世界に飛びたとうとしている。その女性をみてひそかに歯ぎしりし、やがてその未熟さに気づき、ほくそえむ男たち。まことに悲惨な情景である。なぜ笹井さんたちはいそいだのだるか。また秘密にこだわったのか。特定国立研究開発法人の指定のためというのは、どうやら違うらしい。iPS細胞への対抗心も、予算獲得も特許申請の締切もしっくりこない。小保方さの未熟さを認識しながら、論文不備の危険をおかしてまでいそいだのは、なぜか。期限付き雇用の職場には外からはわからない切羽づまった雰囲気があるのか。秘密にしたかったらしい。これも大袈裟すぎる。STAP現象そのものは周知のことだったと思う。その研究を厳秘にする必要はない。この報告書だけではわからない。小保方さんのこれからである。

報告書では研究不正はもはや疑いのない事実とされてるようだ。これから厳しい処分が予想される。小保方さんは裁判に訴えてもあらそうべきと思う。おそらく理研とあらそいたくない。日本から離れたくない。こんな女性らしい気持があるかと思うが、研究者として立つなら、ここは心を鬼にしてでも、裁判において公平な評価をうけるべきと思う。

CDBの解体

この報告書は小保方さんに厳しいが、それ以上にCDBの上層部に厳しい。客員研究員として充分な指導もなく研究していた小保方さんの姿をはっきりと記述してる。それは本来の指導をおこたってた上層部への批判と思う。所属長が研究管理の職責をもつにもかかわらず、それをはたさなかった。それのみならず、その意識すらなかったと指摘している。これは驚きだった。研修参加が義務づけられているにもかかわらず、それに違反している研究者がいる。それを漫然と放置しているという理研の姿も同じ趣旨だ。わたしのみならず、おおくの人が共感できる指摘と思う。そこでCDBの解体の提案である。なるほどと思う。しかし、改革監視委員会の設置まですすむと、どうも首をかしげざるを得ない。

改革監視委員会や組織改革

外部有識者によるこの委員会提言の恒常的モニタリング、評価ということだが、屋上屋をかさねるという愚をおかしてないかと思う。また理事長直属の研究不正防止のための推進本部の設置も疑問をもつ。本部は埼玉県和光市にある。各研究所は神戸、横浜、つくば、都内にもある。本部からさまざまな指令がとぶだろう。報告書を読んでいて思ったことだが、これでは老人の仕事をふやしただけでないか。その結果現場の若い研究者は研究以外の仕事におわれる。と、同時にある思いがつよくなった。はっきりいうが、CDBのみならず理研を解体、整理したらどうかということである。

理研は理工学分野を対象とする研究所であるが、現在その多様な分野をまとめる必要があるのか。STAP騒動でわかるが、他の分野の研究者には余所事だろう。野依理事長が小保方さんのデータ管理の杜撰さに驚いていた。しかし報告書でわかるように、それは個人にまかせられていた。理事長は2003年に就任し10年をこえる。しかしこのあたりの事情を把握できてなかったと思った。研究者は独立心がつよい。他分野のことはわからない。たがいに干渉をきらうからバラバラになりやすい。義務づけられている研修にでないのも、それが問題にならないのも、自分のことは自分でやるからほっておいてくれという暗黙の意思表示でないか。分野を基盤に研究者の間に連帯感がうまれなければ、無理に一緒にいる必要はない。この報告書で一点だけ非常に気になることがあった。

第5の結語のおわりの方で、理研内で真相と科学的真実の解明のため勇気ある行動をとっている研究者が複数名いると指摘している。報告書はかれらに敬意を表するととも不利益がおよばないようにと要望している。わたしはこの見方に疑問をもつ。そのような側面があることは、みとめてよいが、かれらは不正常な組織の中にうまれた不満分子とみた方が適切と思う。小保方さんの論文の未熟さを公表されてからネットで指摘したといわれている。これは、その前に指摘すべきことである。仲間として批判し、たかめあう姿こそ本当の研究者の姿である。それができない不満分 子でないか。理研の研究者が連帯感をうしない迷走してる結果と思う。理研は分野を整理し、それにもとづいて解体、整理した方がよい。研究者がたがいに連帯感をもてるような研究所になってほしい。

STAP騒動その7 [STAP騒動]

neko.gif
6月12日、研究不正再発防止のための改革委員会が理事長あてに極めて厳しい内容の報告を提出した。報告書は長文である。とりあえず読んだ感想をのべる。

1) 小保方さんが研究不正をおこなった。これが当然の前提となった内容だった。
2) 理研がすすめているSTAP細胞の再現実験は不十分である。
3) 2つの論文撤回は研究不正の追及を幕引きにする理由にならない。

1) 甘やかせてるといわれるだろうが、小保方さんがかわいそうでならなくなった。たしかに未熟だったろうが、これほどひどいことをいわれねばならないのか。という気になる。小保方さんのユニットリーダーという職は大学でいう准教授のポストである。それにはまったく経験、実績不足という。それでも小保方さんは所属する発生・再生科学総合研究センター(CDB)上層部の思惑から採用された。論文公表に際して割烹着をきせられた。大人たちの思惑に踊らされてたようだ。「若い才能に大人の配慮を」という、わたしの希望などはいる余地がなかった。

2) これも驚いた。テラトーマについて実験がおこなわれないからという。一般人にはわかりずらいが、このことは専門家からすでに指摘されていることという。この問題は次の問題に関連する。

3) 論文撤回がどんな意味があるのかと思ってた。改革委員会は理研が研究不正を早々に幕引きしようとしてると疑ってるようだ。研究不正の規程から論文を撤回しても不正調査は終了しないのは当然だが、これで幕引きと思ってるらしい。それが小保方さんに論文撤回をもとめてた理由らしい。不十分な再現実験も同様の思惑という。報告書はまた小保方さん、あるいはSTAP論文にはまだまだ追及
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

STAP騒動その6 [STAP騒動]

neko.gif
今月4日までに、ネットに小保方さんが論文撤回に同意した。これがわかったと報道された。これで合計2本の論文が撤回されSTAP研究が白紙にもどることとなった。衝撃だった。

わたしは、1) STAP細胞のあるなしを見極めること、2) 若い才能に大人の配慮をすること、の二つをこの問題で希望していた。あらためて一体これが何になるのかと考えてしまう。弁護士の三木氏も衝撃をうけ、その事実はしらなかった。小保方さんの精神状態から主体的判断を疑問視している。わたしは、次のように理研の対応に強い疑問をかんじている。

1) 小保方さんは、詐欺師ではない。未熟なところがみえる熱心な研究者である。
2) STAP細胞のあるなしを見極めてゆけば、おのずから小保方さんの評価もさだまってくる。そこで厳しい評価がくだされようとも、それは自業自得である。また、その存在がたしかになれば、本人のみならず、この国の将来にとっておおいなる成果である。
3) natureが論文の取消をおこなったなら、いざしらず、論文撤回すると、特許の取得もふくめて得られたかもしれない成果をまったく無にしてしまう危険性がある。
4) これで小保方さんは、おおいに傷ついたが、理研も充分に傷ついた。若い才能をそだてる能力はない、とかんじてしまう。またこのことで日本のイメージも傷ついた。画期的な研究に賛否両論は当然である。批判を甘受し研究の進展をはかるべきが、この有様である。とてもこの国では画期的研究はできないな、と国際的に認知されたろう。
5) STAP細胞のあるなしがまだまだ、さだまってない現在では、小保方さんの問題は、研究論文の不正にすぎず、研究活動の不正の証拠として薄弱である。これで小保方さんを否定した。しょうしょうの混乱を懐におさめ、 理研自身が悪者になっても小保方さんをかばい、STAP細胞研究を進展させることこそ理研のとるべき姿勢だった。

こうみてくると、いやになる。また弁護士が、2種類の細胞が混在するとの記事のなかで、小保方さんは質問書をよめるような精神状態でないとコメントしてた。テレビ番組で小保方さんのパロディ番組の企画があった。弁護士からの申し入れにより中止となった。小保方さんは大丈夫か。研究復帰できるのか。心配である。

STAP騒動その5 [STAP騒動]

neko.gif
フリーアナウンサーの長谷川豊氏が、理研再調査せず、との決定をを、あり得ない、と非難し、調査委員会の委員長はイカサマやって辞任した人でしょ、と、これまたドギツイ言葉をつかって理研批判を展開した。とうとう、ここまできたかと思った。わたしは、匿名で、あることないことを騒ぎたてるネット雀のことは、うるさい連中と無視していたが、今回の騒動をつうじて、さわがしいが役にたつ。時には非常に参考になる見方を提供してくれることもある。あつかいに注意が必要だが、やはり必要な存在だと思いなおした。役にたったことを話す。

STAP騒動については、1) そのあるなしを究明する、2) 若い才能に大人の配慮をもとめる、といった観点でみてきた。そこから理研は思慮深くないなとの印象をもっている。そうはいってもその主張には、もっともな事がある。科学者とはそれほど厳密なものかと、かんじていた。しかし一方でそれほど厳密か、現実ばなれした建前論でないか、とも思っていた。科学者のおおくは小保方さんをせめる。ところが武田邦彦さんという科学者がYoutubeで小保方さんを擁護した。科学者も人間臭い、完全無欠な論文はない、間違いもある。これで腑におちた。そのとおり。科学者のおおくは建前論を現実のように一般人にかたっている。しかし捏造や改竄ということは若い研究者の将来をうばいかねない重大事である。建前論だけですませてはいけない。

あの人たちのおおくも、もう一歩踏み込んできかれたら、現実の姿をいわざるを得なかったと思う。そこまで踏みこんできかないマスコミにも不満があるが、やはり、建前論に逃げこんでいる科学者の姿には不信をかんじる。Youtubeで武田さんの話しをきく時たが、やっと科学者の肉声をきいたと安心した。

指摘サイトというものがあるそうな。小保方さんの論文が1月29日に公表された。その欠陥が2月のはじめ、4日か5日にサイトで指摘された。これは、ネイチャーの専門家も気がつかなかった事である。ネットがなかったら、とても一般人にはわからない事実である。4月1日、理研は調査委員会の報告をうけ、小保方さんについて、2点、改竄あるいは捏造の研究不正があるとの認定をした。これは論文の重要部分だ、ここでミスなどするはずはない、不正がはたらいた、という理由だった。これは論文不正である。研究不正につながり得るが、はなはだ迂遠だと思った。しかし一点の不審もなく断定する姿には科学者としての信念をかんじた。わたしは釈然としなかったが、科学者の世界を断じる資格はない。うけいれざるを得なかった。ところが、4月25日石井俊輔委員長が辞任した。これも指摘サイトで過去の論文の不正が発覚した。研究不正がないというが一般人からみれば小保方さんがやったという、写真の改竄と同じである。科学者の世界では違うのかもしれないが、その差は一般人にはわからない。さらに3人の論文不正も指摘された。たしか委員会では5人が研究者、ほか1人が弁護士だったと思う。つまり委員会の実体がなくなる事態がしょうじた。さらに、おまけがついた、ようだ。iPS細胞の山中京大教授の論文も指摘があり、急遽記者会見をひらく、はめになった。ここまでくるとお笑いの世界に突入したようだ。真面目にやっておられす人に失礼だが、一般人のわたしにとってこれが率直な感想である。

ネット雀

ここでネット雀の頼もしさを感じた。この国では何よりも静謐を重んじる。それが時は行きすぎるのだが、こりない。繰りかえす。重大な問題なのだから、科学者は肉声をはっして、真実を一般人にもしめすべきである。なのに建前論でお茶をにごそうとしてるようだ。ところがネット雀が登場した。ややドギツイが肉声がきけるようになった。わたしは、石井さんも、ほかの3人も、また、小保方さんも、さらに山中さんも特に非難するようなことはない、と思っている。それくらいの事はある。それを踏まえてどう研究をすすめるかを考えてほしいと思う。今の混乱は無用な混乱だと思う。以上が結論である。

STAPその5、続き


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

STAP細胞その4 [STAP騒動]

neko.gif
今日「natureが論文を取消しか」という記事があった。もし論文が取りけされたら、小保方さんにとっておおきな打撃になるだろう。理研も研究不正認定から人事上の処分の検討にはいった。このまま、ながされたら小保方さんの日本での将来はない、と思う。こんなことにならない方法があったように思うのだが、そう動いてない。

わたしは、この国が若い才能にもっと寛容であり、一人前の研究者にそだてる厳しさももってほしかったと思うが事態はちがう方向にすすんでいる。こうなれば両者が裁判においてその主張をのべ、公平な判断がしめされることを望むしかないようだ。まず、小保方さんの能力の見極めである。

難波紘二広島大学名誉教授は厳しい評価をしておられる。小保方さんの研究内容を見ると、独創的なところはどこにもなく、ただひたすら留学中の指導教官であったヴァカンティ教授の説を証明しようと努力しただけのように思える、とのべておられる。また、誰がいったのか、みつけられなかったが、natureの注文にこたえて実験を工夫した。よく対応したと評価しておられた。ということで、小保方さんは裁判で争うだけの価値がある人と思う。

あきらかにしてほしい事実とその理由

1) 論文作成に関係し、どのような研究活動をやってきたか。その内容のみならず、身分、勤務形態、研究室での活動
これは、小保方さんが、各機関をわたりあるいて、充分な指導をうけられなかった。また、他の研究員の協力をえることがむづかしかった。一人で研究活動をつづけざるを得なかった。こんな事情をあきらかにするため。

2) 特許申請に関係する活動。申請書の作成、関与の状況
これは、論文提出時期とかさなり多忙をきわめたのでないか、論文作成に悪影響があったのでないか。ということ。

3) 研究不正の規程にもとづく認定、いつ、どこの研究活動でどんなデータ、研究結果についてしたのかの詳細
これは画像流用の不適切など論文不正は研究不正につながるかもしれないが、それはさておき、ここで研究活動そのものの不正があったのか。認定された研究活動の具体的なデータ、研究結果が何か。


裁判でこのような事実があきらかとなり、両者の主張が遺憾なくのべられて、公平な判断がくだされることを期待したい。



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

STAP騒動その3 [STAP騒動]

neko.gif
2014年4月25日まとめ
もう手遅れかもしれないが、小保方さんの反論をじっくりと読んでみた。研究不正を指摘した理研の調査報告はうけいれられない、というもの。その反論は弁護士が、小保方さんから聞き取りをして作成したものだろう。裁判にもちこむことまで想定した本格的なものである。さすがに法律家の指摘である。するどい。すこし斜めから見ると面白いところもある。その要旨を抜粋して、表にまとめた。
小保方反論の読みかた
項目
斜めの目
要旨抜粋
申立ての趣旨 研究不正と認定された二項目の再調査と不正の撤回を要望

1 研究論文の疑義に関する調査委員会「研究論文の疑義に関する調査報告書」のうち、調査対象項目(1-2)=STAP細胞を作った証拠となるDNA解析画像の切り張り、(1-5)=STAP細胞の万能性を示す画像が小保方氏の学位(博士)論文関連の画像から流用についての調査結果、評価、まとめについて再調査を行うことを求める。
2 調査対象項目について、研究不正を行っていないとの認定及び報告を求める。

再調査の事項 1) STAP細胞を作った証拠となるDNA解析画像を切り張りしたこと
2) STAP細胞の万能性を示す画像を流用したこと
1 研究論文の疑義に関する調査委員会「研究論文の疑義に関する調査報告書」のうち、調査対象項目(1-2)=STAP細胞を作った証拠となるDNA解析画像の切り張り、(1-5)=STAP細胞の万能性を示す画像が小保方氏の学位(博士)論文関連の画像から流用についての調査結果、評価、まとめについて再調査を行うことを求める。

研究不正の定義 1) 研究に重要なデータや研究結果がある。これをでっちあげるのが捏造
2) この前の段階で資料、試料、機器などを操作して、データや研究結果を変更し、研究の結果をただしくないものにするのが、改竄
3) 他人の考え、文章などをまるで自分のもののように引用をあきらかにせず使用するのが盗用
4) 調査委員会はこの不正を認定するもの。論文の書き方などを問題にするのは趣旨にはんする。

研究者等が研究活動を行う場合における次の各号に掲げる行為をいう。ただし、悪意のない間違い及び意見の相違は含まない。
(1)捏造(ねつぞう) データや研究結果を作り上げ、これを記録または報告すること
(2)改竄(かいざん) 研究資料、試料、機器、過程を操作し、データや研究結果の変更や省略により、研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工すること
(3)盗用 他人の考え、作業内容、研究結果や文章を、適切な引用表記をせずに使用すること
調査委員会は、申立人の行為が本規程2条2項の研究不正にあたるか否かを認定・判断しなければならないことになる。

本報告の認定への反論 不正判断への反論。規程の定義にもとづき不正を認定すべきなのに、別次元の価値判断をしてる。 本規程2条2項の研究不正の要件に該当するかという観点からではなく、定義とは別の次元で研究不正と結論づけるもので、妥当でない。すなわち
(1-2)については、もともと「研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工」する行為態様がなく、改竄が疑われる事案ではなく、論文への掲載方法が適切か否かの問題にすぎないのに、これらを混同して研究不正の認定を行っている点で妥当でない。
(1-5)についても、「存在しないデータや研究結果を作り上げ」る行為態様がなく、捏造が疑われる事案ではなく、論文掲載時点で誤った画像を掲載した問題にすぎないのに、混同して研究不正を認定している点で妥当でない。


調査報告書の内容

これだけみると、理研の認定はずいぶんな見当違いである。まったく問題とならないようだ。そこでこれも、手遅れであるかもしれないが、調査報告書をまた、じっくりとよんでみた。これは大部なものである。概要を下表にまとめる。

報告書の概要
項目
概要
1 経緯 2月13日、論文に疑義があるとの連絡を受ける。職員から役員を通じて監査・コンプライアンス室に相談。室長は規程に基づき予備調査を実施した。予備調査の結果を受け規程に基づき本調査の実施を決定した。
2 内容 2-1 調査目的、調査対象、調査対象者
小保方論文の六項目を調査
2-2 調査対象者の所属等
小保方さん他の所属を記載
2-3 調査方法
2月20日から3月31日まで、資料の収集・精査、関係者のヒアリングを実施、これらに基づき審議した。
2-4 調査結果及び評価(見解) (1-2)Figure 1iの電気泳動像においてレーン3が挿入されているように見える点。
ーー> 改竄と認定(作者注 改ざんという用語をつかってる)
(1-5)Figure 2d, 2eにおいて画像の取り違えがあった点。また、これらの画像が小保方氏の学位論文に掲載された画像と酷似する点。
ーー>捏造と認定(作者注 そのようだが本文に明示されてない)
3 まとめ 二点を研究不正と認定した。このほか、小保方の実験ノートのとり方がずさん。監督者の責任が重大と指摘した。


調査報告書は大部なものである。これをまとめあげたことは、大変なことだったと思うが、科学的な側面の充実にくらべて、法律的側面は不十分である。アラさがしは作者の本意でないが、(1-5)について、調査報告書をチェックしたが、改竄とも捏造とも明示せず、研究不正と認定してるようだ。まことに遺憾といわざるをえない。

疑問

あらためてふりかえって、疑問がわいてくる。何がデータ、研究結果の捏造だろうか、ということである。これは規程でとりあげられている捏造という項目の中心概念である。改竄の規程にも登場してくる。具体的に話す。(1-5)の万能性をしめす画像を捏造したと認定してるようである。ではこの画像がデータなのか。もっとつきつめて考えるとおかしくなる。例え話である。1メートルという長さがデータである、ということがあるだろう。これは何だろうか。けっして、鉄製、セルロイド製、あるいはメートル原器の1メートルをさすものではない。話しをもどす。万能性をしめすマウスがそうか。あるいは蛍光をはっするということか。抽象論をこねくりまわしているようだが、もうすこし我慢してきいてほしい。

画像は何らかのメディアに収納されている。その収納物そのものでなく、そこに記録された情報のあつまりである。それも、jpegとか情報の記録方法によっても変化するものである。実は画像の歪みが不正の認定に関係してきた。(1-1)の調査事項である。メディアそのものはデータではない。ところで、申立てでは、このようなものはデータではないといいたいようだ。何がデータなのかはっきりしてくれ。そうすると、もっとはっきりと反論するぞ。といってるようだ。申立側はもっと具体的なマウスそのもの、研究活動において実際に加工、操作するような具体的なものを想定してるようだ。裁判になれば、規程の中の「データ、研究結果」を明確にした上で、不正を認定したプロセスを説明しなければならない。調査報告書では、不十分である。次に強い違和感をかんじた点についてのべる。

経緯のところで調査報告書は、2月13日に外部の人間から論文に疑義があるとの連絡を受けた。職員から、役員を通じて監査・コンプライアンス室に相談した。室長はこれを踏まえ規程にもとづく予備調査を実施し云々とある。まるで緊迫した映画の一場面のようである。しかし、この疑義については、1月末に小保方論文がおおきくとりあげられてから、たちまちネット上で疑問がだされた。疑義があるとされた2月中旬では周知の事実でなかったか。にもかかわらず、このような表現をあえてする理由は何だろうか。これが強い違和感をかんじた点であった。そもそも小保方さんは、ネイチャーに論文を公表した。その時から世界中の研究者の厳しい批判にさらされることは充分承知してたはずである。むしろ、おかしなところがあったら、堂々と批判してくれという、覚悟があったにちがいない。何故理研は外部の垂れ込み情報に頼って調査を開始したのだろうか。小保方さんは犯罪者ではない。このような規程などに頼らず堂々と本人にきけばよい。何故この規程にもとづかなければならないのか。ここにも強い違和感がある。これはもう一つの疑問につながる。

規程は次の目的のためにさだめられた、とある。

研究不正を
1) 防止し、及び
2) 研究不正が行われ、又はその恐れがあるときに、迅速かつ適正に対応するために
必要な事項をさだめるとある。

ここでは、研究不正がおきてしまった時のためにさだめたといってない。つまり、研究不正を防止するか、あるいは、それが現在進行していたり、そのおそれがある時である。小保方論文の対象となる研究活動は2011年から2013年4月までである。2月の時点ではとっくに終了してる。ここで思いだしたが、石器を捏造して日本の歴史を改竄した人がいた。これが発覚したのは疑問をもってた新聞記者が捏造の石器をこっそりと埋めている現場をつかんだからである。研究不正は、まさしく研究活動がおこなわれている時に摘発すべきものだろう。実際にこの時期をのがして、不正を摘発することができるのか。STAP細胞あるなしの究明がやっとはじまったばかりの段階で、そのあるなしの問題を放置して、小保方さんの研究不正を断罪した理研の姿勢はどう考えてもおかしいと、思う。

結論

研究不正と認定されては小保方さんの将来はない。この争いは、どこまでもつづく。またスキャンダルもとびだすだろう。これではSTAP細胞の研究が停滞する。理研は小保方さんと和解(調査報告を撤回)して、無用な混乱を収拾する方がよい。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。