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中華民生投資集団のデフォルト



* はじめに
トランプ大統領が交渉期限を延期して関税25%を猶予した。これで株価がうごいた。米中がどうなるかはまだ予断はゆるさないが当面の緊張がゆるんだ。ところで中国専門家の福島香織氏がユーチューブで重大事項を説明してる。中華民生投資集団の社債がデフォルトとなった。衝撃であるという。さっそくその話し。

* 中民投は二〇一四年に誕生した民営ファンド
二〇一四年に中華民生投資集団(中民投)が五十九の中国巨大企業から2%の出資をえて創設。これを中国ほぼ惟一の商工会が推薦、国務院も後援。当初は三百億元の資本規模で発足、たちまち三千百億元となった。目的は過剰生産、企業乱立の業界で企業を整理、統合、発展させるものだった。そこでやったのが太陽光パネル、鉄鋼、船舶分野への投資。国の後援もある優良民営ファンド。期待をになってさかんに投資活動。秒速でかせぐと評判をとった。ところが二〇一八年夏におかしくなった。総裁がかわり体制もかえやってたが、今年の一月二十九日に償還日をむかえる社債がかえせない。当初技術的問題といってたが、電話を受けつけない、口座も凍結。春節明けにとうとうかえせない。となった。中国に衝撃がはしった。

中国ではもはやデフォルトはめずらしない。だがこれは巨大企業が出資、国務院肝いり、まさかこんなことがとなった。何故かえせなくなったのか。やがてきこえてきた。中国の西部、沙漠の地域、寧夏で世界最大規模の太陽光発電プロジェクトを発足させた。たしか二〇一五年。発電量がギガワット、通常の十から二十倍規模。百億元をこえる投資。こんな沙漠の真ん中で誰がつかうのかという状況。ところで中国の企業は日本にくらべはるかに政府より。習近平さんはエコがすき、当時はどんどんやれだったからのめりこんだ。ところが二〇一八年に突然政府が方針変更。

* 阿鼻叫喚の太陽光パネル業界
二十数本の通達をだした。これは発電規模の上限をさだめるなどだが、そこに実質、すべてのプロジェクトはいったん停止というのがあった。これが太陽光パネル業界を地獄にたたきおとした。政府はそれまでだしてた補助金を打ちきった。中民投の投資はこれだけでないたしか九分野に投資してる。ここでおなじく中国専門家の宮崎正弘氏のつっこみ。利回りは。ううん。たしか8%でなく10%じゃないか。それではとてもかえせないと福島氏。はじめからその気がない、という言葉まででた。これからである。

* デフォルトをだして中民投のこれから
若手の総裁が頑張つてる。とりあえず延期をみとめてくれ、元本だけはかえすという。三千百億元の資本で八百億元の純資産がのこる。流動性が回復すれば。だからそれまでと。何をやってるかというと、健全な投資案件、土地開発プロジェクトを上海国有資産管理委員会の後ろ盾のある不動産会社にうった。この他、うれるものは何でもうる。日本をふくめ外国の投資家にも鋭意接触してる。これは16N006という社債だった。ここからだんだんと、こわい話しに。

* 社債のこわい話しである
社債には国有企業、民間企業、地方政府が土地開発でプラットホームをつくり発行する社債、さらにデフォルトをおこした社債をもとに発行するワラント債もある。総額が六兆元とか。これらの償還の問題だが、二〇一九年もひどいが、さらにもっとひどくなり二〇二一年にピークをむかえるという。さて金融危機の話し。

* ブラツク・スワンとグレイ・リノの話し
ブラツク・スワンとグレイ・リノの話しだが、黒い白鳥はいない。これはリーマン・ショックのように全然予測してなかったものが突然出現、金融危機を引きおこすもの。ところが次の灰色の犀。これはいるが普段はおとなしく目だたたない。だがいったんあばれだすと群をなす。誰もとめられない。つまり社債の崩壊は灰色の犀だったという。この言葉はジョージ・ソロスのようなお金持ちがあつまるスイスのダボス会議で作家でジャーナリストの誰かがいって定着したもの。たしか二〇一三年。これだけでも充分こわいがまだつづく。

* 不動産のこわい話しである
さっきの社債総額が六兆元、うち不動産関係が四千八百億元。それほどでないようだが土地はリスクがたかい。これはもうどうしようもないとおもわれてる。ここで宮崎正弘氏のつっこみがはいる。

政府はまた新幹線を五万キロ延伸すると(すでに三万キロ整備した。たしか日本は千キロのはず)。そうしないとお金がまわらない。トランプ大統領の猶予で株式市場がすこしゆるんだ。政府が景気刺激にはしるとの期待がでてる。それでまた土地にという。福島氏がいう。すると李克強首相が、いや金融引き締めはやめてないとあわてていいだす。もう混乱の極地。人民大学の向松祚教授が講演で不動産バブルの話しをする。現在、売り出し中の不動産の総額だが延床面積から推計、なんと六十兆ドル。これは世界のGDPが七十兆ドルだからとんでもない額。不動産が株式市場をささえ個人の資産をささえてる。 バブルが崩壊したらどうなる。今年は灰色の犀、社債、不動産があばれまわる年となるかも。さて感想である。

* 感想
中国はリーマン・ショック、二〇〇九年からたしか四兆元の財政支出をしていち早く不況から脱出したという。そして今にいたるが、その現状が巨大な灰色の犀の出現となった。野放図な経済政策の結果である。けっきょく文化大革命のような大混乱に落ちいるのか、とおもう。経済の法則、世界の秩序を無視した結果、こうなるのか。また来た道にもどってきた。結論である。

* 結論
中国の不幸は中国にお願いする。日本は巻きこまれないよう、できるだけ影響のないようにお願いする。中国の人々の苦しみを他人事のようにいうのはいやだが、そうねがわざるをえない。国民の皆さんどう思いますか。


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