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中国、全方位監視社会の暴発



* はじめに
中国専門家の福島香織氏と宮崎正弘氏がファウェイについてはなした。そこで福島さんから中国の監視社会について面白い説明があったので紹介する。まず結論だが、中国は国民を全方位で監視する社会を構築しようとしてる。それはインターネット技術をいわば悪用して人間の自由をおかそうとする。その中核にファウェイの技術がある。では。社会信用スコアである。

* 社会信用スコアの説明
最近中国の発展改革委員会が公表の社会信用スコア。これは個人の振る舞いの善し悪し。これを数字で評価する。それでわるいと失効措置をとる。その人数が千二百七十七万人。そのうち延べ数だが七十四万人が飛行機にのれない。五百四十四万人が新幹線にのれない。こんな人がでた。税務当局のブラック・リストの話しである。一万六千四百六十二件があった。そのうち一万二千九百二十世帯が融資制限措置をうけた。そのう千四百十二世帯が追徴課税や罰金をはらってリストからはずしてもらった。二〇一八年の夏現在、社会信用スコアの対象者は九億七千万人である。これと、ハイテクカメラ、DNA、指紋。顔認証、姿勢、歩き方などの生体情報を利用。またインターネット、SNSからの情報。家電、ここでは音声認証をつかってスイッチをいれたりする。こんな手段からえられた情報を利用して生体情報をまとめる。

こうして巨大なデータバンクを構築しようとしてるのが中国。これは世界最大規模、最も広範囲のものといわれる。次に囚人収容施設。

* 全方位囚人監視システム
パノプチコンという円形の囚人収容施設がある。円形の囲まれた建物。中央に監視塔がある。そのなかで囚人がくらす。これを社会に適用して全方位型監視社会という。この特徴は二つある。

1) 監視されてる者が監視されてることを意識しない。
2) 監視する側がこれは囚人の再教育のためにやってる。善意でやってるとの意識がある。

これがまさしく現在の中国の社会状況をあらわしてると最近中国でよくつかわれる言葉がとなってる。次に、電子マネーについて。

* 電子マネー
電子マネーの電子決済と紐づけられた信用情報が二つある。

1) ジイマ、シンヨン。これは中国最大の通販、アリババでアリペイとして開発された。これで個人の支払い状況、ローン返却状況をもとにスコアをつける。たかいとホテルのデポジットの支払いが猶予される。アリペイローンの審査がゆるくなる。

2) もう一つ、日本のLINEにあたるウィチャット。これはテンセントが開発したが、そのウィチャットペイである。これと紐づけられたテンセント・クレジットがある。ここの信用評価はウィチャットのなかの会話、人間関係、社会的地位、さらにウィチャットにはゲームがあるが、そこでの振る舞い。規則をまもるかなどを監視、スコアをつける。。このスコアによりウィチャットのなかの買い物、デポジットがかわってくる。この評価と政府との関係である。

* 民営企業の信用評価と政府との関係
この二つの信用評価と政府の関係はというと、二つは民営企業だが、まず習近平は民営企業を野放しにしたくない。警戒心をもってる。だから圧力をかける。アリババのジャック・マーは昨年、引退を表明したが、それをきらってのこと。またテンセントのマーも若手で今は頑張ってるが嫌気をさしてるよう。この状況のなかで政府がやってる信用スコアとどんな関係か。

一応、別物という。だが政府にいわれれば情報を提供せざるをない。ちなみに政府がやってる信用スコアは信用中国だが、ここのブラックリストはネットにでる。(法律ができ政府が必要と命令すれば民営企業には提出義務がうまれる。こういわれる)。さらに公安による監視システムである。

* 公安の監視システム
二つある。まず天網(英語でskynet)。これは顔認識により、ピ、ピッとパスポート番号、身分証明書番号がでてくる。その実例だが六万人のスタジアムで音楽やってた。そこで四十六人の指名手配をつかまえた。人気のアーティストの演奏ツアーが去年の四月から九月までやったらつかまった。こんな高性能の監視カメラをつくってるのが香港の商湯(シャンタン)、有名なスタートアップ企業である。カメラの需要は膨大。二〇二〇年には世界中のAIカメラの四分の三が中国という。そのトップ企業である。これはもともと香港の中文大学の先生が二〇〇四年の創業、急成長、現在にいたる。そんな実例である。本田の車。人を認識すると停止する。そのカメラがこれ。また最近、ソフトバンクが投資したとニュースになった。

もう一つ。これはもっとこわいもの。雪亮工程プロジェクト。これは 農村監視システムだが新疆ウイグル地区のものもおなじ系列という。つまりウイグル限定でなかった。あらゆる農村を対象、農民を管理。なぜかというと。農村のほうが都市より危険な存在とかんじてる。一応、公共安全が目的というが実は群集管理。二〇一八年夏ごろに一億七千万。おそらく二〇二〇年までには三億個以い上という。その姿は次のとおり。

村の路地、学校とかあらゆる所に三百六十度がみえる丸い監視カメラを設置。村人の情報、戸籍、身分証明書番号、携帯番号、指紋をはあらかじめ把握し監視する。朝おきてねるまで全部のデータをとってゆく。すごい情報量となる。ある話しでは赤信号で違反すると名指しでおこられるそう。二〇一八年一月にだされた中央一号という公文書で、このプロジェクトを徹底するよう指示してる。だから中国では膨大な量の監視カメラが必要。その予算が今後数年で三百億ドルという。そのICチップなど重要部品の話しである。

* 監視カメラの重要部品
レンズは日本やドイツらしい。ここにファウェイが登場。。半導体のチップをつくってる。コアな部分として米国のクアルコムとかエヌビデアがやってる中国は自動車の自動運転に力をいれてる。そこで自前のものをつくりたい。それをロビン・リーのバイドゥ。もう一つがファウェイだ。中国にはこの二つだけ。ファウェイは毎年、十%から十五%の投資をしてた。たしか去年から量産型のAI用チップが生産できるようになったそう。これで米は最大の警戒心をもつようになった。インターネット監視技術である。

* 中国のインターネット監視技術
これは中国が最高の技術水準に あるが金盾(きんとん)プロジェクトという。このコア技術をもつのがファウェイ。基本技術は米国のシスコがもってた。政府はこれを自前技術でやれといい、ファウェイが開発した。天網、雪亮工程、金盾と人を統制する技術をもつ。そのコアな技術はファウェイがもってる。さてファウェイ問題の意義である。

* ファウェイ問題の意義
ファウェイは米中貿易戦争で注目をあつめたが、けっして経済にとどまるものでない。軍事技術にむすびつくから安全保障、さらにこの監視社会の中核技術をになうから人間の自由にかかわる。さらに独裁政府がその技術を悪用する。それは西側の価値観、人間の自由をおびやかす問題という。これが共通認識となってると指摘した。では感想である。

* 感想
福島さんがいった結論にはまった同感する。あやういところで日本をふくむ西側諸国がこれに対峙する共通認識ががうまれたと安堵した。さて結論めいたもの。

* 結論めいたもの
中国が拡張を強行し南シナ海や東シナ海で暴発させるおそれがあるが、その場合も西側の包囲網が機能するだろう。米中貿易戦争も米国の圧倒的優位ですすむだろう。こうなると共産党政権はどうするか。その緊張を国内にもってくる。国内では不景気、バブル崩壊、金融不安がたかまってる。対立、争い、紛争が激化するだろう。

監視社会の構築に膨大な資金と人を投入し、それをつづける。社会信用スコアというおぞましい仕組みをさらにおしすすめる。人を評価し管理し支配しようとしてる。人々はすこしでもよいスコアをもとめてあらそうのでないか。自分よりなぜあの男のスコアがたかいのかとあらそう。なぜ自分は融資をうけれない。なぜ自分は飛行機にのれないとあらそう。全国の農村、町、都市にひろまる。

これはもしかすると毛沢東語録という評価をもってあらそった文化大革命の再来になるのでないか。おそろしい。かって日本でこれを夢の革命と賞賛したり賛意をしめした人がでた。今回だが監視カメラは渋谷のハロウィンの暴徒を特定させた。だからこれはすばらしいというような人がでるのはお断りである。国民の皆さん、そうおもいませんか。

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