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米中新冷戦時代を読みとく [バカにされないクスリ]


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* はじめに
米のペンス副大統領がハドソン研究所で中国を激烈に批判する演説をおこなった。これを経済評論家の長谷川幸洋氏が米中新冷戦時代の幕開けと読みといた。その概要である。

* ペンス副大統領の演説とは
米国は中国に市場を開放し利益をえる機会をあたえてきた。それは中国が経済的に豊かとなり民主化がすすみ世界に貢献する国家となると期待したからである。だがこの期待は裏ぎられた。第二の経済大国となった中国は米国の知的財産をぬすみ経済的覇権をうばおうとし、その軍事力の拡張は安全保障の重大な脅威となった。さらに一帯一路により途上国を借金漬けにし支配を拡大してる。国内においても信教の自由をおかし、少数民族を弾圧してる。このような中国に対峙する米国はけっしてひるむことはない。といった内容。

長谷川さんはこの内容や演説がこの研究所で実現した経緯などから、かって英国のチャーチル首相がおこなった鉄のカーテン演説に匹敵するもの。冷戦時代の幕開けを宣言したと読みといた。私の感想である。

* 感想
この内容には同感だが彼が新冷戦時代の幕開けと読みといた慧眼には恐れいった。ところで中国はこれをどう受けとったのか。中国政府はすぐ反論したが、それを一日に二度おこなった。異例なもの。おそらく内部で大混乱があったのだろう。彼らは交渉上のテクニックとして強硬な姿勢を米国がとってる。だがその裏にかならず妥協をねがってるとおもってた。だから何故なのか理解できないというのが本音でないか。何故だろう。中国の立場でかんがえる。

* こんなにしてやったのにとおもってる中国
国際政治学者の藤井厳喜氏の面白い指摘がある。前大統領のオバマ氏には異母弟が中国にいる。彼はセレブな食客として中国に保護されてるという。私はこれでオバマ氏が米国の国益をそこなったとはけしておもってないが藤井さんがいう。中国人は皆んなこの事実をしってる。だから米国はけっして中国を無下にあつかわないとしんじてるという。これで私は他のことを思いだした。

競争力がおちたといわれてる米国車が中国においては、たしか十パーセントのシェアをもつ。これが中国の配慮だという指摘がある。トランプ大統領が就任してすぐに娘のイバンカ氏のファッション・ブランドの店が中国に設立された。これは最近、閉鎖されたが、中国にとっては残念なことだったろう。これはどんな考えなんだろう。

私は中国が目だたない形で有力者に利益を供与し交渉を有利しようとする、彼ら一流のやり方だとおもう。よくいわれるクリントン夫妻の財団(これもすでに解散してるが)への援助、マスコミ、シンクタンクへの資金提供も同様の考えだろう。ここで突然だが私がすきな古代ギリシャの話しをする。ギリシャとペルシアである。

はじめて両方がぶつかったマラソンの戦いであるが、ペルシアはその軍にアテネを追放された専政主を同行させてた。それは彼に同調しておきるアテネでの内部蜂起を期待してたからという。ペルシアは政争にやぶれたスパルタの王様やアテネの指導者をうけいれた。これはけっしてめずらしいことでない。その後の両者の戦いにおいてもペルシアは決戦をおそれ、ギリシャ側に金銭、賄賂をおくったり、ペルシアに従属したギリシャの都市を提供しようとした。これは相手側の有力者を金銭などで籠絡し自己に有利にしようとする意図である。ここで両者の違いが問題となる。

アテネの指導者あるいはスパルタの王様はそれぞれの立法機関の決議なしでは戦争をはじめることも停戦を成立させることもできない。他方、ペルシアは王様の一存である。スパルタには王様がいるが、彼は市民の代表機関である議会に厳重に規制されてる。その意味でアテネとともに民主主義側にあり、ペルシアはあきらかに非民主主義側にある。ここまでくると私のいいたいことがおわかりいただけるだろう。つまり米国は民主主義側、中国は非民主主義側。

そして中国はペルシアのように米国の有力者に数々の贈り物をし籠絡したとおもったのに何故、突然、米国がおこりだしたのかと当惑してるというものである。さて結論である。

* 結論
民主主義においても指導者は巨大な権限をもつことがある。しかしそれは国民を代表する機関により厳重に規制されてる。有力者同士が話しをつけようとしても民主主義側においては国民の目がひかって勝手な取引はできない。その結果、国民の利益が保護される。ところが非民主主義側においては有力者の利益が優先され国民は後回しになる。その結果、国民の利益がそこなわれる。国民の皆さん、ここに民主主義の大切な役割があるとおもいませんか。


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