SSブログ

日本は借金大国か [増税]

* 日本は破綻するか
この5月、財務省が国の借金は、1053兆円、国民一人あたりで830万円と発表した(2014年3月末)。大変なことになった。これが世間でいう日本国破産の理由かと思ってしまう。ところが、これは嘘。国に借金はないという。Youtubeで経済評論している三橋貴明氏である。

日本の政府、企業、家計がもつ対外の資産から負債をひく。すると世界最大の資産国である。2013年末で対外純資産367兆円。ここで「国」にからくりがある。この発表はもっと正確にいうべきだ。

日本国政府が自国民に1053兆円の借金がある。国民は政府にたいしこれだけの債権がある。もうすこしややこしい話しをする。政府は国債を円建てで発行し必要な資金を調達する。この国債を購入してもらうが、その95%が日本国民である。三橋氏は非常に憤慨している。政府の発表を鵜呑みにして、まるで日本がギリシャのように財政破綻する。何がなんでも増税して借金をかえさないといけない。こんなキャンぺーンにマスコミも協力してる。という訳である。本当に大丈夫かという説明がある。

* 本当に大丈夫か
1) 自国通貨建てで国債を発行した国で破産した国は歴史上存在しない。ギリシャはEU建てであり、外人の購入が過半(たしか70%)である。
2) 格付け会社のS&P、ムーディーなどが格下げをする。国債の消化が困難となるという。しかし、日本国債の利率は1%以下である。つまり新規発行する。どっと購入希望者が殺到。利率がひくくなる。実際、格下げが発表されると若干あがって、すぐ低下するという。ところがギリシャの利率は20%をこえる。つまりこれくらいないと、リスクがたかすぎて購入者がでてこない。
3) 2002年、最近、逝去された塩川正十郎大臣の時、黒田東彦財務官(現日銀総裁)が同様のことをのべてる。これは格下げされたことに異議をとなえておくった格付け会社宛の意見書にあるものである。

* でも大丈夫か
一言ことわるが、国というのは、政府、金融機関、企業、家計などの経済主体から構成されるものである。財務省が「国」というのは、この中の政府というべきものだった。

さて、これぐらい説明されると大丈夫という気になるが、でもまだ何か安心できないものが、のこる。どうだろうか。漠然とした不安である。それをいうと、安易すぎないか。利で国民から金をかきあつめる。これで財政の規律がたもてるか。そんなに政府が信用できるのか。いったん国民が政府をみはなしたら、たちまち国債の価値は暴落する。こんな方法がいつまでもつづくはずがない。こんな不安である。実は、おなじような不安をもったことがあった。その話しである。

* 国は経済が必要とすれば「お金」を発行する
江戸時代、5代将軍綱吉、6代将軍家宣につかえた荻原重秀という勘定奉行がいる。将軍の命にこたえて小判を改鋳して財政をまかなった。将軍の浪費、必要のため金や銀の分量をへらし、それで通貨量をふやした。これは経済にくらい幕閣から、おおいにほめられた。ところが新井白石という家宣につかえた大学者、儒者がいた。この人が、金や銀は国家の骨のようなもの。その品位をさげるのはけしからん。そんなことをするから天変地異がおきたのだと非難した。白石は諫止状を何度も将軍に奉呈し、その中で、このような奸物は自分が差し違えて征伐すると、いいはなった。

白石は神は人なりといったように、近代精神の嚆矢と目される学者だったが、経済においては儒教精神丸出しである。事実、当時も地震、大風など天変地異が発生してる。これの原因を失政のせいにする。異様である。重秀は幕府の必要をまかなうのに他にどのような手段があったのかと反論する。それとともに幕府が発行するならば、かわらけ(素焼きの粗末な食器など)でもいいといいはなったという。もし重秀が白石ほどの学者ならもっと上手な説明ができただろう。しかし小身の旗本から勘定奉行にまでのぼりつめた実務家にはこんな言い方しかできなかったのだろう。

幕府(政府)が信頼されていれば、貴重な金銀が通貨である必要なない。粗末なかわらけでもよいという主張だった。品位のひくい通貨を野放図に発行すると悪性のインフレをひきおこすという。ところがある研究によれば年率3%の上昇だったという(村井淳志、勘定奉行荻原重秀の生涯)。経済政策あとして妥当である。また、経済の発展とともに金本位制が崩壊し現在の通貨制となった歴史からも、納得できる。さて話しを現在にもどす。

* 現在に身をおいて考える
三橋氏の発言に怒りがある。それはデフレから脱却しようとしてる日本経済に、増税をして、またデフレに逆戻り、ひいては日本経済の崩壊にみちびくのかというものである。最近の財務省の軽減税率の提案の動き。2017年に消費税増税につきすすもうとする現状への危機感でもあるだろう。デフレとの現状認識のもと三橋氏のいうところは筋がとおって明快だ。しかし国民の気持、その裏にある不安をどこまで感じておられるか。財務省の論理がマスコミに取りあげられるのも、これがあればこそと思う。

あらためて、いうが、利でもって国民の金をかきあつめるような安易な手段で政府に借金させて大丈夫か。これで財政の規律がくずれる。誰が歯止めになるのか。政治家か官僚か。どうだろうか読者の心にも不安がたかまったのではないか。さて結論である。

* 結論、ぼんやり不安を抱えてても
現状では、景気刺激が必要という。今年中に補正予算がくまれるそうだ。ぼんやりとした不安で立ちどまってても、仕方ない。公共事業なら、本当に景気対策に有効な計画を責任者、担当者が作成し、それを実施する。国民はそれをよくみて、評価する。これ以外なさそうだ。



勘定奉行荻原重秀の生涯―新井白石が嫉妬した天才経済官僚 (集英社新書)

勘定奉行荻原重秀の生涯―新井白石が嫉妬した天才経済官僚 (集英社新書)

  • 作者: 村井 淳志
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 新書



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。