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STAP騒動その8 [STAP騒動]

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6月12日に公表された改革委員会の報告書を下表のようにまとめた。大部で、ちょっとわかりにくくなったかもしれない。第3の「なぜ起きたか」がこの報告書の白眉と思う。これで小保方さんがバカンティ研究室に所属し若山研究室の客員研究員という不安定な身分で研究していた事情、研究ノート記録、データ管理が杜撰と指摘された背景があきらかとなった。とりあえず、下表をみてもらいたい。




報告書(下線部分は抜粋)
事項
説明
経緯 第1 本委員会の目的及び提言策定の経緯

2014年1月28日、STAP論文を公表、多大な注目、数々の疑惑の指摘
疑義に関する調査委員会が、3月31日、2点の研究不正を認定。小保方側の申立。しかし5月8日再調査の不実施を決定
調査委員会の報告を受けて4月8日、発生・再生科学総合研究センター(CDB)において自己点検検証委員会を設置、6月12日、報告書
また、研究不正再発防止のため改革推進本部を理事長の下に4月4日、設置。同時に外部有識者による改革委員会(本委員会)を設置。本委員会は岸輝雄東京大学名誉教授を委員長とし他に5人。6月12日に報告書
考え方 第2 提言にあたっての基本的な考え方

規程の不正にとどまらず科学としての不正こそが防止するべき対象
2004年の研究不正事案から数々取り組み、しかし今回の不正認定に新しい対策が必要
不正を認定された小保方氏のみならず監督の立場にあった笹井、若山両氏の責任も重大。またCDBセンター長、副センター長、グループディレクター(GD)会議メンバーも責任。理研全体にも責任
なぜ起きたか 第3 STAP問題はなぜ起きたか-STAP問題発生の原因分析

1 CDBは、小保方氏の資質と研究内容について客観的資料を基に精査する通常の手順を省略して小保方氏を採用した。その背景には、iPS細胞研究を凌駕する画期的な成果を獲得したいとの理研CDBの強い動機があったと推測される

ハーバード大学C.バカンティ研究室所属の小保方氏はCDB若山研究室の客員研究員としSTAP現象を研究。STAP細胞の樹立に成功したとして、論文を作成、2012年4月ネイチャー誌に投稿、不採択。
小保方氏は2012年4月27日、部内でSTAP現象の説明、松崎及びオブザーバーの竹市センター長も知るところ。この際、小保方氏はiPS細胞に対するSTAP細胞の優位性に言及
10月CDBは新任の研究室主宰者(PI)の公募を開始。11月14日のGD会議後の非公式な打合せで小保方氏が候補。西川副センター長(当時)が小保方氏に応募を打診。
小保方氏が応募。しかし応募書類の提出が間に合わず、選考委当日の12月21日に受領、面接セミナーを実施。しかし必要な推薦書が未添付。過去の研究実績を確認することなく内定。なお秘密性保持のため通例の公開セミナーを省略、さらに非公開も省略。若山研究室の研究実績の確認も未実施。
CDB竹市センター長は理事長に小保方氏の研究の優位性を説明、採用を推薦。理研理事会は採用決定
研究者として経験不足は否めないが、予算をつける必要から研究ユニットリーダー(RUL)として採用

2 STAP論文は、生データの検討を省略し、他の研究者による研究成果の検討を省略して拙速に作成された

力不足を認識していたので竹市センター長は笹井GD、丹羽プロジェクトリーダー(PL)を助言者に指名、natureに採択されるよう笹井氏に論文作成指導を依頼。12月以降、積極的に指導、バカンティ氏との関係から秘密保持を優先。閉鎖的状況が発生。笹井氏は過去データ点検を未実施。その結果おおくの誤りを看過。共著者との連絡不足、共著者による検証の機会を減少。
GD会議も研究者間において研究内容を多面的に検証することを過怠。すなわちCDB内で通常行われる研究討論会にSTAP研究は不提出。竹市センター長、GD会議メンバーも論文進捗状況の情報共有を図らず。2013年4月23日に米国国際特許締切に迫られた事情。

3 小保方氏の研究データの記録・管理はきわめてずさんであり、CDB はそのようなデータ管理を許容する体制にあった

研究不正の規程では、所属長に、研究レポート、各種計測データ、実験手続き等を確認すること、それらが研究所に帰属することを研究員に周知すること、それらを一定期間保管すること、他の研究者からの照会に対応すことなどを義務づけている。ところが、2012年4月以降、若山氏は(山梨大学に転出)雇用関係のない外部研究者であり、小保方氏も外部研究者(客員研究員)であったのでもともと管理がむづかしい状況。若山氏は2012年2月までは規程にいう所属長だったがこの職務をはたしていなかった。2012年4月以降は、変則的状況となったが特段の措置をとらず。
2013年3月以降は小保方氏の所属長は竹市センター長。さらに同氏はCDB全体の責任者でも。しかし本委員会の質疑に対して「そういう管理的なコンプライアンス的なことは私はしておりません。」、あるいは「(小保方氏にかぎらず)すべての新任の PI に対して私がその問題に対してやっていません。」と陳述。このことから責務をはたしていないばかりでなく、その責務があることも認識してないと判断

4 STAP 問題の背景には、研究不正行為を誘発する、あるいは研究不正行為を抑止できない、CDB の組織としての構造的な欠陥があった

小保方氏の研究ユニットは、国立大学の准教授クラスが運営する研究部門に匹敵。そのレベルを運営する PI としては実績、能力不足。不適格者を職権、杜撰審査で採用。竹市センター長、理研CDBトップ層の責任は重大
さらに、CDBにおいてはデータの記録・管理の実行は研究者任せ。CDBの組織全体としての取り組みはほとんどなし。

5 研修の受講や確認書提出を義務化しながらもそれが遵守されておらず、かつ不遵守が漫然放置されている

理研は2004年の研究不正事案の発生を受け監査・コンプライアンス室を本部に設置、規程の整備、講演会、管理職研修の義務付け、冊子作成、確認書提出の義務付け
ところが、講演会受講者は該当者519人中で215人。冊子についても読了し、その旨の確認書提出した者が594人中で452人
このような義務違反を漫然放置
冊子の冒頭で電気泳動における実験データの改ざんという事例が紹介。今回の研究不正事案と類似。効果の不確実を示唆

6 実験データの記録・管理を実行する具体的なシステムの構築・普及が行われていない

7 理研本体のガバナンスにおいて研究不正防止に対する認識が不足している

8 理研のガバナンス体制が脆弱であるため、研究不正行為を抑止できず、また、STAP問題への正しい対処を困難にしている
防止策 第4 再発防止のための改革の提言―研究不正の再発防止策として

個人及び組織の責任を明確化、相応の厳しい処分
任期制の職員の雇用を確保、早急に CDBを解体。新たなセンターを立ち上げる場合は、トップ層を交代、研究分野及び体制を再構築すること
STAP 現象の有無を明らかにするため、科学的に正しい再現実験
第2論文についてもすみやかに規程に基づき調査、不正の有無を。あわせて外部調査委員会による論文の検証徹底
公正な研究の推進を最上位命題に。その推進と研究不正防止を担う理事長直轄の本部組織を新設
研究不正を防止する「具体的な仕組み」を構築
理研のガバナンス体制を変更
外部有識者のみで構成される理化学研究所調査・改革監視委員会を設置、再現実験の監視、論文検証を。また監視委員会により本委員会の提言に基づく改革の実行をモニタリング・評価
結語 第5 結語

不正行為のの背景、原因追及が必要。新に捏造疑義の指摘、引き続き調査が必要。
STAP現象の有無を明らかにすることが、理研の社会的使命。小保方氏自身による再現実験も必要
新たに「理化学研究所調査・改革監視委員会」を恒常的に設置することが必要
CDBは解体・廃止すべき
理研本体も改革が必要。新しい役員・センター長等の人事を断行。理事と同数の外部委員を含む「経営会議」を立ち上げるべき。理事長直轄の本部組織として研究公正推進本部を新設。
前代未聞の研究不正の解明にあたり、理研内で真相と科学的真実の解明のため勇気ある行動をとっている研究者が複数名いる。本委員会は敬意を表すると共に、不利益な扱いをされないよう、要望する。
理研が日本のリーダーとして範を示すことが期待

報告書:http://www3.riken.jp/stap/j/d7document15.pdf

感想

これだけの報告書を2ケ月たらずでまとめられた委員会の努力を多としたい。まず小保方さんについてである。

あらためてかわいそうだと思う。iPS細胞への対抗心、おそらく京大への対抗心だろうが、それからたまたまCDB上層部に目をつけられて、能力不足が認識されていたにもかかわらず、大学でいえば准教授というポストに抜擢された。その上で画期的発見につながる論文作成をいそがされた。それに特許申請もくわわった。馬車馬のようにおいたてられて完成した。公表したところ、たちまち疑惑の指摘、いじわるな指摘の集中攻撃である。あっというまに泥まみれだ。これでいいのかと思う。

抜擢された。それにのった本人の責任があるのは否めない。がしかし、若い野心を誰が非難できるのか。CDB上層部の庇護をうけまさに世界に飛びたとうとしている。その女性をみてひそかに歯ぎしりし、やがてその未熟さに気づき、ほくそえむ男たち。まことに悲惨な情景である。なぜ笹井さんたちはいそいだのだるか。また秘密にこだわったのか。特定国立研究開発法人の指定のためというのは、どうやら違うらしい。iPS細胞への対抗心も、予算獲得も特許申請の締切もしっくりこない。小保方さの未熟さを認識しながら、論文不備の危険をおかしてまでいそいだのは、なぜか。期限付き雇用の職場には外からはわからない切羽づまった雰囲気があるのか。秘密にしたかったらしい。これも大袈裟すぎる。STAP現象そのものは周知のことだったと思う。その研究を厳秘にする必要はない。この報告書だけではわからない。小保方さんのこれからである。

報告書では研究不正はもはや疑いのない事実とされてるようだ。これから厳しい処分が予想される。小保方さんは裁判に訴えてもあらそうべきと思う。おそらく理研とあらそいたくない。日本から離れたくない。こんな女性らしい気持があるかと思うが、研究者として立つなら、ここは心を鬼にしてでも、裁判において公平な評価をうけるべきと思う。

CDBの解体

この報告書は小保方さんに厳しいが、それ以上にCDBの上層部に厳しい。客員研究員として充分な指導もなく研究していた小保方さんの姿をはっきりと記述してる。それは本来の指導をおこたってた上層部への批判と思う。所属長が研究管理の職責をもつにもかかわらず、それをはたさなかった。それのみならず、その意識すらなかったと指摘している。これは驚きだった。研修参加が義務づけられているにもかかわらず、それに違反している研究者がいる。それを漫然と放置しているという理研の姿も同じ趣旨だ。わたしのみならず、おおくの人が共感できる指摘と思う。そこでCDBの解体の提案である。なるほどと思う。しかし、改革監視委員会の設置まですすむと、どうも首をかしげざるを得ない。

改革監視委員会や組織改革

外部有識者によるこの委員会提言の恒常的モニタリング、評価ということだが、屋上屋をかさねるという愚をおかしてないかと思う。また理事長直属の研究不正防止のための推進本部の設置も疑問をもつ。本部は埼玉県和光市にある。各研究所は神戸、横浜、つくば、都内にもある。本部からさまざまな指令がとぶだろう。報告書を読んでいて思ったことだが、これでは老人の仕事をふやしただけでないか。その結果現場の若い研究者は研究以外の仕事におわれる。と、同時にある思いがつよくなった。はっきりいうが、CDBのみならず理研を解体、整理したらどうかということである。

理研は理工学分野を対象とする研究所であるが、現在その多様な分野をまとめる必要があるのか。STAP騒動でわかるが、他の分野の研究者には余所事だろう。野依理事長が小保方さんのデータ管理の杜撰さに驚いていた。しかし報告書でわかるように、それは個人にまかせられていた。理事長は2003年に就任し10年をこえる。しかしこのあたりの事情を把握できてなかったと思った。研究者は独立心がつよい。他分野のことはわからない。たがいに干渉をきらうからバラバラになりやすい。義務づけられている研修にでないのも、それが問題にならないのも、自分のことは自分でやるからほっておいてくれという暗黙の意思表示でないか。分野を基盤に研究者の間に連帯感がうまれなければ、無理に一緒にいる必要はない。この報告書で一点だけ非常に気になることがあった。

第5の結語のおわりの方で、理研内で真相と科学的真実の解明のため勇気ある行動をとっている研究者が複数名いると指摘している。報告書はかれらに敬意を表するととも不利益がおよばないようにと要望している。わたしはこの見方に疑問をもつ。そのような側面があることは、みとめてよいが、かれらは不正常な組織の中にうまれた不満分子とみた方が適切と思う。小保方さんの論文の未熟さを公表されてからネットで指摘したといわれている。これは、その前に指摘すべきことである。仲間として批判し、たかめあう姿こそ本当の研究者の姿である。それができない不満分 子でないか。理研の研究者が連帯感をうしない迷走してる結果と思う。理研は分野を整理し、それにもとづいて解体、整理した方がよい。研究者がたがいに連帯感をもてるような研究所になってほしい。

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