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清武の乱 [野球]

ひさしぶりに、巨人を解任された清武英利氏の名前がネットに登場した。きたる6月5日に裁判に証人として登場するという。あの渡邊恒雄読売巨人軍会長も同日に登場するそうである。あの清武の乱が何だったかを思いだしたい。

記者会見

清武さんは、2011年11月11日に記者会見をひらいて、こうきりだした。
11月9日に渡邊恒雄読売巨人軍会長から、「巨人軍の一軍ヘッドコーチは江川卓氏とし、岡崎郁ヘッドコーチは降格させる。江川氏との交渉もはじめている」といわれた。しかし清武さんは、桃井オーナーや原監督と協議し、ヘッドコーチは岡崎氏と内定し、岡崎氏につたえた。オーナーが決定した年俸で今日11日に契約書をとりかわすこととなってた。すでに宮崎で秋季キャンプにはいっていた段階で、このような通告があった。これは、渡邊さんが組織、規定を無視した重大なコンプライアンス(法令)違反にあたるという。さらにつづく。

清武さんと桃井オーナーは読売本社の渡邊さんをおとづれ、事前に岡崎氏をふくむ人事案件を説明し了承をえていた。ところが渡邊さんはその後に、記者団に「俺は何も報告をきいていない。俺に報告なしに、勝手にコーチの人事をいじくるというのは、そんなことありうるのかね。俺はしらん。責任はもたんよ」という発言があった。で、清武さんが反論する。

事実にはんする。もし、わすれたというなら、巨人軍球団会長の任にたえないということになる。そうでないなら、虚言をろうしたことになる。これは、重大な過失であり、コンプライアンス違反である。なまなましい暴露もとびだした。

11月7日桃井オーナーは渡邊さんから、次のような内示をうけた。

人事異動の内示
新旧
桃井
清武
代表取締役社長 専務取締役球団代表・オーナー代行兼総務本部長コンプライアンス担当
オーナー兼代表取締役社長 専務取締役球団代表・オーナー代行・GM兼編成本部長


11月9日に渡邊さんから清武さんに、将来、社長にする。定年を68歳でのばす可能性もある、といわれ、受諾するよう要請された、という。なまなましい発言である。この後、清武さんは、読売新聞記者からん巨人軍にはいった経緯、渡邊さんが不祥事でオーナーを辞任した巨人軍のため頑張ってきた話しをつけくわた。ここで名言というか、迷言がとびだした。渡邊さんが江川氏を推薦する理由に、「悪名は無名にまさる」と発言したそうだ。

ここで、巨人のあ人事にかんし序列があることを付言しておく。

会長 <ー オーナー <ー社長 <ー 球団代表 <ー GM

これは、人事では降格をさける、との原則。それと実際の人事、つまり辞令の内容、実例、つまり、渡邊さんが、オーナーをやめて会長に昇任したことなどの事実から推測したものである。辞令におおくの役職名が登場する。たしかどれも規定上にさだめられてないようだ。しかしこのような序列が存在することは裁判上で主張できそうだ。

解任

読売側は清武さんを解任した。読売の名誉を失墜させたと損害賠償ももとめた。清武さんも対抗する。解任にたいする損害賠償である。さらに、これに関連し読売側は清武さんは社内資料をもちだした。それが出版されることを問題にした。ここで補足説明する。

渡邊さんは、1996年にオーナーに就任し、2005年に不祥事で辞任し、巨人軍の会長に就任した。後任は滝鼻卓雄氏である。清武さんは、2004年にGMに就任し、2011年に解任された。清武さんは会見で自分に実質的にコーチの人事権があるといった。GMという肩書はそのとおりだが、この「実質的」に問題ありという。桃井オーナーは、巨人の組織規定にはGMに関する条文はない。コーチの人事権は誰にあるのかを明確にさだめた条文もない、という反論だ。なんとも根拠薄弱な発言だが正確な発言である。さらに付言する。会長である渡邊さんに人事権があるとも、オーナーである桃井氏にあるとも主張していない。勿論、清武さんに人事権がないとも主張してない。裁判でどう評価されるか、しりたいところである。

そこで一言補足。監督のほかに何故GM (general manager)が必要なのかということである。

GM

米国メジャーリーグベースボールをみているうちに、どこかできいたことである。監督は、勝ちを自分のせいに、負けを選手のせいにしたがる。選手は公平をもとめる。もっと公平に自分をつかってくれたら、もっと活躍できたという。監督が選手の獲得に口をだすと選手はその選手は贔屓という。どんなに公平だといっても、そう思わない。ここである。選手の獲得はGMがおこない、試合での起用は監督がおこなうと分離する。これで監督、選手の不満やいいわけを排除し、GM、監督、選手の評価をより客観的にすることができる、という考えから導入されたという。これは球団運営をおこなうための合理的な組織の姿をしめしてる。日本でも日本ハム、ヤクルトが採用してる。これも裁判でどう評価されるか気になる。ところでこんなゴタゴタはどこかで波風がたつと思ってた。で、でた。

契約金問題

2012年2月に第一回の公判があった。3月である。朝日新聞が「巨人、6選手に契約金36億円 球界申し合わせ超過」というスクープをほうじた。契約金最高標準額(1億5000万円)を破って1997年から2004年の新人選手6人と契約、超過分は27億円にのぼるという。渡邉さんはまさにこの時期にオーナーをつとめてた。これには前史がある。

有力新人を獲得したい各球団は、きそって好条件で新人をさそう。アマチュア規定にはんし、ひそかに金品を供与することもある。そのため何度も申し合せをした。でもやぶられる。水面下で申し合わせ違反は横行しているとの噂はたえなかった。事実、2007年には申し合わせ違反として、西武球団と横浜球団にコミッショナーから厳重注意の処分がもたらされた。ところが巨人にもこのような不祥事が発覚したわけである。巨人はこれは、2007年までは上限ではない。ルール違反という問題はしょうじないと主張した。契約金の高騰は長年の懸案事項だった。それを防止しようと何度も申し合わせた。その拘束力がどれほどのものか、必ずしもたしかではないが、これほどの超過を問題にしないのなら、申し合せ自体がまったく無意味となってしまう。ずいぶん鉄面皮だ。でも巨人は、どうして漏れたかのか。そちらを問題にしたようだ。朝日の取材源にかみついた。まだまだつづく。

女性問題

6月原監督の女性問題を週刊文春がスクープした。元暴力団関係者におどされて一億円支払ったというものだった。巨人軍・読売は、事実を否定していない。しかし、取材において内部資料が流出したこと、取材の適否を問題にした。ここでまた、第二の迷言がでた。すこしながいが、ある意味で衝撃的だった。

原監督が清武さんによびかけている体の文書である。契約金超過、原監督女性問題の暴露で巨人の選手、OB、関係者がこまっている。そうして疑問がある。「こんなことがなぜ続くのか。清武さんのほかに、いったいだれがいるのか」といっている。善人原監督の顔がうかぶ。事実無根を主張するわけでも、内部資料流出の犯人を清武さんと断定するわけでない、またまた中途半端である。清武さんは犯人説を否定するとともに、この文書が原監督の名前だが、本人であるまいと示唆した。この件のひろがりは、このあたりまでであるが、両者が裁判において、次の請求、仮処分の請求をおこなっている。

おおくの裁判

ずいぶん訴訟、仮処分が請求されている。清武さんからと、巨人・読売からである。


清武と巨人・読売の訴訟
清武->巨人・読売・渡邊 巨人・読売->清武 巨人・読売->出版社
解任に関し損害賠償等請求 忠実義務違反に関し損害賠償請求 七つ森書館に対し出版契約無効確認請求、出版差し止めの仮処分請求。記者時代の清武さんが取材した出版物を復刻しようとする出版社に対するもの
朝日新聞契約金報道に関し損害賠償等請求 動産引渡請求(清武さんの携帯の通信記録をみたかったらしい) 「巨魁」出版のWACに対して清武さん委託の資料に関し仮処分請求
原監督1億円支払問題に関し損害賠償等請求   週刊文春に対して、出版広告差し止めの仮処分の請求


V9の栄光

次の図は、巨人のV9(九連覇)以降のオーナーと巨人日本一の関係をしめす表である。清武さんを解任し次々と訴訟をおこした、あるいはおこさせた渡邊さんをどう評価するのか。どうも九連覇、正力さんの存在ばかりが目だってしまう。

V9以降のオーナーと巨人日本一
オーナー就任年巨人日本一
白石 2011~2014 12年優勝
桃井 2011(6.7~11.18)  
滝鼻 2004~2011 09年優勝
渡邊 1996~2004 00、02年優勝
正力 1963~1996 65~73年V9。81、89、94年巨人優勝


長くなってしまった。2011年11月以降から現在を振りかえった。では、今後の裁判をどうみるか。わたしは、この国の中間管理職、とくに組織の最高責任者のわがままに振りまわされてるおおくの中間管理職に関係がある大切なものと思ってる。これをGM職をとかれた清武さんの私憤がわがままな最高責任者に暴発したものにすぎない。こう切りすてる考えはとらない。中間管理職の悲哀を理解し、正当に評価することはこの国の将来にとって重要であると考えている。さて結論である

結論

次の二点が裁判で適正に評価されることを期待する。

1) 巨人のGMを法的にどの程度評価するのか。
辞令上の名称にすぎない。最高責任者の一存でその決定は簡単にくつがえるものなのか。裁判であきらかにされる事実を前提にいえば、GMとい機能はたしかに存在した。規定があるなしにかかわらずである。それをきちんんと認めることは、GMを正当に評価することにつながる。不当な最高責任者の影響を排除することにつながると思う。

2) 舶来の概念、コンプライアンスをどう評価するのか
内部でどんなコンプライアンスをさだめようとも、それは内部の問題だ。法的にはなんら重みはない。こんな考えは今や成りたたないと思う。組織がおおくの人びとに重大な影響をおよぼす現代社会において、単純に内部事項にとどまらない大切な法秩序であると評価すべきと思う。そこで清武さんの主張と読売側の主張の両者を勘案して、どの程度清武さのコンプライアンス違反の主張を認めるか。忠実義務違反の前ではまったく問題にならないものなのか、その判断をしりたい。

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